NISTEP注目科学技術 - 2023_E364
概要
地震発生・即時津波統合予測システムが今後現実が期待される科学技術である。南海トラフ地震の発生を予測し、押し寄せる津波を予測できれば、その予測は西日本の太平洋に面した地域の防災・減災に活用できる基礎情報となる。即時津波予測システムは、一部の地域や企業において運用されており、津波観測をもとに、到来する津波の到達時刻、高さ、浸水深を即時予測する。この津波予測に加えて、もし地震発生前の何らかの予測情報を活用し、来る地震を待ち構える事ができれば、各種防災施策を実行する上での点検やマニュアルの確認、自治体と地域住民の連携等の準備に時間をかける事には意味があるとする説得材料になる。そのために、即時津波予測システムと地震発生予測の技術を繋げ一元化する研究が必要である。
従来の地震発生予測は直前に避難するための短期的地震予知だったが、国は、それは困難と宣言している。これに対し、開発中の地震発生予測の技術は、いつもと違う異常を捉える事で地震が起きそうかの判断に使える可能性がある。地震・津波による被害を軽減するために科学技術の知見を生かす視点が重要であり、今使える技術を実社会に還元する視点で検討された。その結果、即時津波予測システムによる地震後の備えに、地震発生予測の技術に基づく地震を待ち構える仕組みを組み合わせる研究開発が進めるべき課題と位置付けられ、現在推進中である。
従来の地震発生予測は直前に避難するための短期的地震予知だったが、国は、それは困難と宣言している。これに対し、開発中の地震発生予測の技術は、いつもと違う異常を捉える事で地震が起きそうかの判断に使える可能性がある。地震・津波による被害を軽減するために科学技術の知見を生かす視点が重要であり、今使える技術を実社会に還元する視点で検討された。その結果、即時津波予測システムによる地震後の備えに、地震発生予測の技術に基づく地震を待ち構える仕組みを組み合わせる研究開発が進めるべき課題と位置付けられ、現在推進中である。
キーワード
ビッグデータ / 予測・観測(地震発生) / 地球環境
ID | 2023_E364 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 25 (社会システム工学、安全工学、防災工学) |
分析データ クラスタ | 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス) |
研究段階
企業との共同研究が進んでいる段階
インパクト
他分野へ波及効果(新分野の創出、他分野の発展加速等)があり、当該科学技術を生み出す理学/工学と人の動きや心理を扱う社会科学/心理学との間の接面の新分野「防災学」の創出に寄与する可能性がある。
新たなサービス・事業・産業の創出の期待があり、地震発生・即時津波統合予測システムが提供する予測情報をどのように発信するか、またその情報をどのように利用するか、同システムと人間とのインターフェースを担うサービスは、南海トラフ地震の起きる前までに、太平洋に面した多くの西日本の地域では必須となると期待される。
新たなサービス・事業・産業の創出の期待があり、地震発生・即時津波統合予測システムが提供する予測情報をどのように発信するか、またその情報をどのように利用するか、同システムと人間とのインターフェースを担うサービスは、南海トラフ地震の起きる前までに、太平洋に面した多くの西日本の地域では必須となると期待される。
必要な要素
要素技術の進展は社会的要素に大きく依存していると考えており、太平洋に面した多くの西日本の地域において本当に防災減災に必要な情報を提供できるように技術開発する必要があるという留意点がある。これまで開発が進んできた即時津波予測システムの運用が限定された企業や地域のみであることから見えてきたのは、Q6で述べた人の動きや心理を扱う社会科学/心理学との連携や、同システムと人間とのインターフェースを担うサービスが不足していたことによると考えており、現在の課題を解決すべく研究開発が進められている。