NISTEP注目科学技術 - 2023_E360
概要
大規模画像データの幾何・位相解析:近年の計測・観察・シミュレーション技術の発達により、自然科学・工学の画像データ解析が非常に重要となっている。その様な画像データを幾何・位相不変量として定量的に解析できるPersistent Homology (PH)と呼ばれる代数位相幾何学のアプローチが注目されており、分子生物学・材料工学・音楽理論などを含む様々な分野で応用されている。また、深層機械学習の進展により、大規模な「数」の画像解析が実用化されつつある。一方、3D CTや共焦点顕微鏡などで得られる一つの画像が非常に高解像度で大容量の場合に、上記のPHや深層学習を適用する技術開発は立ち遅れており、今後の実現が期待されている。
キーワード
計算代数位相幾何学 / Persistent Homology / マルチスケール画像解析 / 深層機械学習 / 組み合わせ・計算幾何学
ID | 2023_E360 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | 情報通信 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 60 (情報科学、情報工学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
小さい大きさの画像データに対しては、理論研究と共に実用化が検討されている段階であるPHや深層機械学習であり、大規模な「数」の画像データに対しての計算・解析技術も進んでいる。しかしながら、車一台を3D CTで計測したり、マウスの脳全体や魚全体を共焦点レーザー顕微鏡で3次元観察するような、一つの画像で数百ギガバイトから数テラバイトの「容量・画像サイズ」が大規模な画像データを処理・解析する計算法の開発・考案は進んでいない。
インパクト
大規模画像データの客観的・定量的・数学的に不変な解析が可能となり、大規模なシミュレーション・計測・観察データの価値が飛躍的に向上し、様々な科学・工学分野でデータ活用の進展が期待される。
必要な要素
行列・幾何・位相計算法など要素基礎技術の研究、抽出した不変量に基づく実応用解析法の研究・開発と実用的なソフトウェアの開発。