NISTEP注目科学技術 - 2023_E36

概要
材料微視構造を制御することで自然界では発現しない特性を引き出したメタマテリアルが高精度3Dプリンターや計算設計技術によって実現している。この技術を構造体まで発展させることで,局所的に特性を変化させてメタマテリアルの特性を活かした製品が開発できる。
計算設計技術としてはトポロジー最適化という有限要素法と数理最適化法を組み合わせたアプローチが主流であり,非線形現象や様々な物理特性に拡張されている。ここに,近年の深層学習を組み合わせたアプローチが提案されている。トポロジー最適化では低次の規則構造しか得られないが,深層学習を用いたアプローチでは高次構造も出力しうる。
メタマテリアルの活用はこれまでの設計概念を変えうるが,造形においても課題があり,3Dプリンターの高効率・低価格化およびそれ以外の造形方法の検討がされている。
キーワード
メタマテリアル / 3Dプリンター / 計算設計 / 深層学習
ID 2023_E36
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 ものづくり
専門度
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 18 (材料力学、生産工学、設計工学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
基本的な計算設計手法は開発から実用化段階にある。造形については研究室レベルで小さな構造体の制作は可能であるが,大型造形は設備的な問題で難しい。大型化する場合は造形精度の担保と高速化が不可欠である。すなわち,研究室レベルからスケールアップして企業での作成・活用の検討という状況にある。
インパクト
設計の概念が変わるということは製品の特性を飛躍的に改善できる可能性がある。また,材料スケールと構造体の双方を同時に扱うこととなるので,材料設計と製品設計またそれを造形するためのプロセス設計といった異なる分野の融合・協働が促進される。
必要な要素
計算設計技術,特にマルチスケール設計技術の開発が必要である。また,設計された大型構造物を造形するための3dプリンターをはじめとする技術の開発が必要である。造形に関しては高コストが避けられないため,安価な生産技術の開発が求められる。