NISTEP注目科学技術 - 2023_E345

概要
LiDARなどのレーザー測量技術を積んだ衛星、航空機、ドローンなどによって、森林資源量評価が高域かつ高精度、高頻度で計測可能になり、生態系管理や林業、生物多様性モニタリング、炭素クレジットなどにおいて大きな役割を果たすと期待される。
(LiDARは画像情報とは異なり、距離情報を含んでおり、構造的な情報(地形や森林の高さ)を得ることができる。)
キーワード
LiDAR / 生物多様性 / 森林資源量評価 / 炭素クレジット
ID 2023_E345
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 環境
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 40 (森林圏科学、水圏応用科学)
分析データ クラスタ 14 (気候)
研究段階
 国土地理院による航空機によるレーザー測量はすでに国土の半分を網羅しており、日本スケールならば、森林資源評価を全国スケールで実装することは可能な段階に入りつつある。ただし、森林は変化するもの(成長、伐採、撹乱など)であり、変化を追うためには、国土レベルのスキャニングを定期的に行うのが望ましい。そのような観測システムは未だない。
 一方で世界的には衛星LiDARによって全球スケールによるスキャニングが必要であるが、現状は衛星の軌道上に足跡がポツポツできるようなスポットレベルの評価であるため、網羅的な評価とは言えない。NASAのGEDIがこの分野を先行していて、日本もMOLIという衛星を打ち上げようとしているが、遅れている。いずれにせよ、DEDIもMOLIもスポットレベルの評価であり、将来的には、技術開発によって、面的なスキャンニングになるようにして欲しいと思う。
インパクト
 森林高を全球スケールで定期的にモニタリングできるようになれば、森林の健全度や成長速度、炭素蓄積量、違法伐採の有無などを正確に評価できるようになる。これが実現すれば、炭素クレジットの取引などは、透明性が高くなり、信頼できるビジネスとして成り立つと思われる。
 国内の森林資源評価は、林齢と樹種、立地(土地の肥沃度)に応じて、平均的な値を代入(推測)するというものであり、実際と推測値の乖離が大きい。そのような状況では、国土の炭素蓄積量すら正確に評価できない(実際に林野庁がこれまで発表していた森林資源量概況は実際の半分程度であったことが近年判明している)。LIDARデータで評価すれば、透明性が高い形で森林の現況が評価可能になり、林業や炭素クレジット、生物多様性評価などさまざまな面に利用価値がある。
必要な要素
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