NISTEP注目科学技術 - 2023_E338
概要
数値解析分野において,これまで達成が困難であったレベルの高速,高効率な計算手法が確率的アルゴリズムによって実現される可能性がいくつかの技術で指摘されており注目している.
例としては,既にある程度確立した技術である最小化問題における確率的勾配法(これは機械学習の学習過程などでよく用いられている)や,近年けんきゅうがかっぱつになりつつある確率的数値線形代数(固有値問題等)が挙げられる.
しかも,こうした技術については挙動が決定論的でなく把握しにくいその性質上,人間による発見ではない機械学習によるアルゴリズムの発見も将来的には期待できるように考えており,そうした意味でもより期待できる.
例としては,既にある程度確立した技術である最小化問題における確率的勾配法(これは機械学習の学習過程などでよく用いられている)や,近年けんきゅうがかっぱつになりつつある確率的数値線形代数(固有値問題等)が挙げられる.
しかも,こうした技術については挙動が決定論的でなく把握しにくいその性質上,人間による発見ではない機械学習によるアルゴリズムの発見も将来的には期待できるように考えており,そうした意味でもより期待できる.
キーワード
確率的勾配法 / 確率的数値線形代数 / 確率的アルゴリズム
ID | 2023_E338 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | その他 |
専門度 | 低 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 60 (情報科学、情報工学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
この技術の一部,確率的勾配法などは既に実用に供されている一方,大規模計算の計算コストの大きな部分を今なお占める数値線形代数に大きな影響を与えると思われる確率的数値線形代数の分野は近年のものであり,実用レベルに至るには多少の時間が必要と考えられる.そして残念なことに,この方面の第一人者は日本人であるが,その能力を買われアメリカの大学に異動済みでり,本邦のこの分野での研究の進展はあまり望めないように思う.
インパクト
近年,AI技術の発展などで企業レベルでも大規模計算の必要性が認識されるようになってきているが,実は機械学習に限らず大規模計算の計算コストの大きな部分を占めるのが数値線形代数計算である.
たとえば機械学習の学習プロセスにおいて現在は実質的に GPUの利用が必須であるが,これは GPUが数値線形計算を高速に行えることを理由としている.
つまり,数値線形代数計算を高速に行うアルゴリズムが開発されればこうした大規模計算は直接にその恩恵を被ることになる.
そうした意味で,既存の大規模計算のみならず,AI技術の開発・運用においてもこうした技術は大変に大きな寄与をしうるものである.
たとえば機械学習の学習プロセスにおいて現在は実質的に GPUの利用が必須であるが,これは GPUが数値線形計算を高速に行えることを理由としている.
つまり,数値線形代数計算を高速に行うアルゴリズムが開発されればこうした大規模計算は直接にその恩恵を被ることになる.
そうした意味で,既存の大規模計算のみならず,AI技術の開発・運用においてもこうした技術は大変に大きな寄与をしうるものである.
必要な要素
確率的数値線形代数計算の研究者が働ける環境が必要であるが,残念ながら本邦には殆どない.
上に述べたように,この分野の優秀な人員はアメリカなどに異動済みである.
こうした人員を本邦に呼び戻せるような環境,サポートが必要であるだろう.
上に述べたように,この分野の優秀な人員はアメリカなどに異動済みである.
こうした人員を本邦に呼び戻せるような環境,サポートが必要であるだろう.