NISTEP注目科学技術 - 2023_E337
概要
現在の第3次AIブームを支える深層学習の登場以降、画像処理に特化した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)モデルは、様々なタスクにおいてその有効性が確認されている。一般に、CNNモデルは複雑な構造をしており、モデルを構成する数百万~数千万のパラメータをタスクに最適化させるためには膨大な学習用データが必要であり、その収集コストが課題である。また、実画像はラベリングコストや倫理的な問題を抱えている。
これらの課題を解決するため、数式から生成した人工画像を用いて事前学習済みモデルを構築する数式ドリブン教師あり学習(Formula-driven supervised learning, FDSL)が注目されている。本手法は、AIが学習で使用する大量の実画像やそのプライバシーの確保、ラベル付けコストなど商業利用の際の課題を解消するとともに、実画像や人の判断を経た教師ラベルを用いる現在の手法と同程度以上の画像認識精度を実現している。今後は、更なる精度向上や動画像タスクへの応用が期待される。
AI開発で世界から遅れているわが国において、世界に向けて自信を持って発信できる素晴らしい技術であると考えている。
これらの課題を解決するため、数式から生成した人工画像を用いて事前学習済みモデルを構築する数式ドリブン教師あり学習(Formula-driven supervised learning, FDSL)が注目されている。本手法は、AIが学習で使用する大量の実画像やそのプライバシーの確保、ラベル付けコストなど商業利用の際の課題を解消するとともに、実画像や人の判断を経た教師ラベルを用いる現在の手法と同程度以上の画像認識精度を実現している。今後は、更なる精度向上や動画像タスクへの応用が期待される。
AI開発で世界から遅れているわが国において、世界に向けて自信を持って発信できる素晴らしい技術であると考えている。
キーワード
機械学習・深層学習 / Few shot learning / Formula-driven supervised learning(FDSL)
ID | 2023_E337 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 情報通信 |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 61 (人間情報学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
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インパクト
我が国の製造業は少子高齢化による熟練者の減少という問題に直面している。一方で、グローバル競争が激化していることもあり、高い品質の製品が求められている。また、開発される製品や部品が小型化・精密化されているうえ、市場のニーズに応えるために多品種少量生産も増えている。外観検査の自動化技術は国内外を問わず活発に行われているが、それら最先端の異常検知技術は大企業での利用を想定した大規模なデータセット確保を前提としており、中小企業の製造現場で使用することは困難である。つまり、少数の不良品データしか得られない状況でAIの実利用を可能にすることが喫緊の課題であり、FDSLはこの課題を解決する手段となりうる。
必要な要素
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