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NISTEP注目科学技術 - 2023_E333

　水・物質の循環に関し、地上・地下を一体的に解析し、循環の構造を解明するシミュレーション技術。水資源管理、水災害解析・予測、環境保全、資源エネルギー管理など、多様な分野での状況把握、将来予測に関する基礎情報を解析・提供することが可能。
　水・物質の移動だけではなく、様々な化学反応過程をシミュレーションに組み込むことが可能。また、原油等の流体の解析も可能。
　複数（数台～数百台）のパソコンのによる連性解析技術によるシミュレーション技術が確立しており、スーパーコンピュータに依存しない解析が可能。
　現在、既に、地表地下を対象とした解析技術は開発されている。
　今後は大気圏における水・物質循環シミュレーション技術と統合した総合解析技術の研究開発が期待される。

　地表・地下を対象とした水・物質循環解析技術は実用段階で、実装が進んできている。
大気圏を含めた総合解析技術は構想段階。なお、大気圏のみの水循環シミュレーションは気象解析モデルとして開発済み。

多様な分野での実装、活用が可能である。一例を以下に示す。
〇長期的な気象予測と連動した水循環解析により、気象動向を取り入れた水資源管理が可能　となる。
〇気象モデルによる短期降雨予測に基づく洪水流出解析が可能となり、災害時の危機回避行動の基となる情報精度が飛躍的に向上する。
〇大気中に放出された危険物質（例えば放射性物質）の、大気、地表、地下での状況について、時間経過に基づく影響予測が可能となる。

　水・物質循環解析技術は、わが国がリードする技術であり、国家的な支援（研究開発投資、人的資源の投入）が期待される。