NISTEP注目科学技術 - 2023_E306
概要
これまでの水道/下水道システムは、大規模集約型であった。つまり、河川等から一括して水を取水し、浄水場で処理した後、各家庭に配水する水道システムと、各家庭からの排水を集約し下水処理場で処理した後、河川等へ排出する下水道システムである。これらは高度経済成長期において一気に整備されたため、同時多発的に老朽化が進行している。そのため、今後10年ほどで設備の更新に対する需要が急激に高まると予想される。
設備更新にあたり考えなくてはいけないのは、少子高齢化が進む昨今にあって、果たしてこれまでの大規模集約型水処理システムをそのまま更新するのが最適かどうかである。「小規模分散型水処理システム」の適用も視野に入れる必要性があると考えられる。つまり、極端な言い方をするならば、各家庭の排水を家庭内で処理して水道水として利用する仕組みである。夢物語のようであるが、処理技術が近年、飛躍的に進化しており、100%実現不可能と言うわけではない。例えば宇宙船では、実用化されている。ただし、現実的な技術として確立するためには、既存の技術をそのまま適用しても実現できるものではなく、省エネ化、低コスト化、スマート化などを考えると、工夫が必要な点が数多くあり、またそのための基礎的研究を進める必要がある。また、昨今の脱炭素化やSDGsの動きを加味すると、同システムは単なる水処理だけではなくエネルギー回収や物質回収も含めたものにする必要がある。
設備更新にあたり考えなくてはいけないのは、少子高齢化が進む昨今にあって、果たしてこれまでの大規模集約型水処理システムをそのまま更新するのが最適かどうかである。「小規模分散型水処理システム」の適用も視野に入れる必要性があると考えられる。つまり、極端な言い方をするならば、各家庭の排水を家庭内で処理して水道水として利用する仕組みである。夢物語のようであるが、処理技術が近年、飛躍的に進化しており、100%実現不可能と言うわけではない。例えば宇宙船では、実用化されている。ただし、現実的な技術として確立するためには、既存の技術をそのまま適用しても実現できるものではなく、省エネ化、低コスト化、スマート化などを考えると、工夫が必要な点が数多くあり、またそのための基礎的研究を進める必要がある。また、昨今の脱炭素化やSDGsの動きを加味すると、同システムは単なる水処理だけではなくエネルギー回収や物質回収も含めたものにする必要がある。
キーワード
水処理技術 / 水循環 / 再生水利用
ID | 2023_E306 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 22 (土木工学) |
分析データ クラスタ | 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス) |
研究段階
ポイントとなるのは、排水を処理してそのまま用水に利用する点。既存技術は、ほとんどのものが大規模集約型水処理向けのものであり、これをスケールダウンできるかどうかが重要である。そのための研究は多くの研究機関等で進められているところであるが、まだ研究室レベルのものである段階と考えられる。また、数多ある既存技術のどういったものを応用するべきか等については、米国で前例があるのでそれを参考にすればいいものと思われる。
インパクト
これまでなかったシステムを創出するため、多方面でのインパクトを与えることになる。例えば発生する汚泥を利用して各家庭でエネルギー回収を行うこともでき、またリン化合物などの有価物回収も行うことができる。さらに「分散型」の仕組みであるが、一括した管理は必要でありそのための各種センサー類やAIを利用した自動制御などの技術を投入することが不可欠である。言い方を変えると、その点において新しいビジネスが生まれる。
必要な要素
このシステムは既存の技術を発展させ、適切に組み合わせればいずれは問題なく利用できるものであると期待できる。しかし、それだけでは実用化することができない。
技術以外の点、例えば法整備やリスクコミュニケーション(下水を処理して飲用することについて)を盤石にしないと、宝の持ち腐れとなる。この点、残念ながら日本は遅れていると言わざるを得ない。米国での先進事例を参考に日本の慣例や文化にあったものを整備する必要がある。
技術以外の点、例えば法整備やリスクコミュニケーション(下水を処理して飲用することについて)を盤石にしないと、宝の持ち腐れとなる。この点、残念ながら日本は遅れていると言わざるを得ない。米国での先進事例を参考に日本の慣例や文化にあったものを整備する必要がある。