NISTEP注目科学技術 - 2023_E290

概要
過去数十年のシロイヌナズナを代表としたモデル植物における分子生物学的な研究から、植物の成長の制御機構に対する理解が深まってきている。この知見を基に、作物種や樹木などの成長を自在に制御する技術の開発が期待されてきたが、現在までに、そのような技術の開発はなしえていない。今後、食糧問題や温室効果ガスの問題などからしても、植物の成長を制御する革新的な技術の開発は必須であると考えられる。その為にも、異なる研究分野を横断的に跨いだ研究コンソーシアム構築が必要であると思われる。
キーワード
カーボンニュートラル / ゲノム編集・ゲノム合成 / 人工知能 / イメージング技術
ID 2023_E290
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 38 (農芸化学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
-
インパクト
食料・エネルギー問題、さらにはカーボンニュートラル問題など、これら諸問題の解決には、二酸化炭素を固定することができる植物を利用することが最重要であると思われる。一方、これまでの植物科学の研究は、基礎研究と応用研究との間に大きな隔たりがあり、さらには、実験環境から実際の野外環境での研究移行を可能とする技術・人的資源・研究環境は、必ずしも十分であるとは言いがたく、植物科学、特に植物成長の理解をもたらしている基礎研究の成果を活用できていない。この科学技術が実現した際には、食料・エネルギーなど、人類が直面している問題の解決の第一歩となる。特に、本研究分野を日本が牽引することにより、新たな産業がうまれると考えられ、国際競争力の強化につながる。
必要な要素
植物科学に対し、分子から野外生態系まで、幅広いスケールでの研究を推進するための新たな研究コンソーシアムが必要である。