NISTEP注目科学技術 - 2023_E285
概要
再生可能エネルギーの大量導入による回転型の同期発電機の減少に伴い生じる電力系統の慣性低下が引き起こす種々の問題に対し,パワーエレクトロニクス機器に擬似的な慣性を具備することで,電力系統の安定化を図る技術が世界中で開発されている.カーボンニュートラルを目指す日本においては,再生可能エネルギーの導入と,電力の安定供給を両立する必要があるため,この技術の確立と普及は極めて重要である.
キーワード
カーボンニュートラル / 再生可能エネルギー / 電力系統 / パワーエレクトロニクス / 擬似慣性
ID | 2023_E285 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | エネルギー |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 21 (電気電子工学) |
分析データ クラスタ | 38 (計算機・電気通信・通信デバイス・量子計算機) |
研究段階
基礎的な技術開発については様々なプロジェクトや企業・大学において広く検討がされている状態である.現在の研究段階は,普及によってどの程度電力系統が安定化されるかの実証や,普及に要するコストの低減といった,実用化に向けた検討の段階である.
インパクト
再生可能エネルギーの大量導入の下でも電力系統を安定的に運用することが可能になるため,カーボンニュートラルの実現に大きく寄与することが考えられる.
また,擬似慣性を提供するリソースを需要家が所有している場合には,擬似慣性を取りまとめて市場で取引を行う新たな事業の創出も期待できる.
慣性を提供する物理的な回転機を保有する必要性が小さくなることから,電気事業の効率化も期待できる.
再生可能エネルギーの導入によって不安定化する電力系統を安定化することができるため,電力の安定供給に寄与することができる.
大規模災害により電力系統からの電力供給が途絶した場合においても,擬似慣性を提供する機器が需要家が保有していれば小規模系統(マイクログリッド)を安定的に運用することができ,電力供給強靭化の実現に寄与することができる.
また,擬似慣性を提供するリソースを需要家が所有している場合には,擬似慣性を取りまとめて市場で取引を行う新たな事業の創出も期待できる.
慣性を提供する物理的な回転機を保有する必要性が小さくなることから,電気事業の効率化も期待できる.
再生可能エネルギーの導入によって不安定化する電力系統を安定化することができるため,電力の安定供給に寄与することができる.
大規模災害により電力系統からの電力供給が途絶した場合においても,擬似慣性を提供する機器が需要家が保有していれば小規模系統(マイクログリッド)を安定的に運用することができ,電力供給強靭化の実現に寄与することができる.
必要な要素
社会インフラであるがゆえに,導入に要するコストの電気料金への反映など,社会による理解を促進することが重要である.