NISTEP注目科学技術 - 2023_E275

概要
抗体遺伝子を導入した新しい種類の免疫細胞治療法に注目している。これまですでに抗体療法、CAR-T療法、ADCやBispecific抗体など様々な抗体の改変フォーマットによる治療モダリティが開発と上市されている。今後は、T細胞に限定せず、様々な細胞において抗体を介した細胞間のシグナル増強や遮断といった技術が、治療レベルに到達するものと思われる。
キーワード
機能性抗体 / 免疫療法 / 抗体工学
ID 2023_E275
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 企業
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 55 (恒常性維持器官の外科学)
分析データ クラスタ 57 (腫瘍学/臨床・治療法)
研究段階
ヒトに外挿性の高い抗体を作るフォーマットとして、アカデミア初でベンチャーにおいて技術が確立されている。一方でこれを例えばT細胞に導入して体内での有効性を検討する系は、動物および大動物における安全性ならびに薬効を検討する手法が模索されている状況にある。ヒト化動物における抗体探索は、すでに確立されてビジネス化されている。治療にするには、安全性や薬理的な効果を検証する必要があり、現在は企業での薬事へつなげる前の段階が実施されていると考えられる。
インパクト
抗体医薬品がマーケットに与えたインパクトは大きく、医療経済的な問題はあるものの、その薬効や顕著で時代を大きく変えたと言えるだろう。抗体遺伝子を導入した細胞治療モダリティは、体内で増える薬ともいうことができ、技術と生産が確立したのちには、薬効の増強およびコストの大きな低減が期待できる。
必要な要素
安全性評価および薬効評価には、やはりヒトとマウスの種差を加味して評価することが極めて難しい現実となっており、代替動物としてマーモセットを広く利用可能とすることが必須である。この取り組みは徐々に認知を得られていると考えているが、世界に先駆けて日本から医薬品を多く出して外貨を稼ぐためには、マーモセット研究、特に繁殖においての投資と開発が必須になると思われる。