NISTEP注目科学技術 - 2023_E253

概要
現在、地球環境問題としては、二酸化炭素の増加が引き起こしている気候変動の他に、窒素負荷の増大と生物多様性の喪失が上げられている。これらの環境問題をつなぐ主体は生態系における生物群集である。しかしながら、その複雑さや研究方法の限界などからこれまでは扱えなかった。しかし、環境DNAや同位体分析技術といった、どこにどのような生物がいるのか、あるいは、その生物がどのような物質循環における機能を持っているかを評価出来るようになってきた。このような手法は、地球環境の劣化が進行している現在、現状把握や保全の数値目標設定のためにも、できるだけ多くの地点でモニタリングを行い現在の生物群集とその物質循環の状況の記載しておくことが必要であると考えている。
キーワード
地球環境 / 生物多様性 / 窒素循環 / 環境DNA / 同位体
ID 2023_E253
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 環境
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 64 (環境保全対策)
分析データ クラスタ 14 (気候)
研究段階
原理的には利用可能な手法として確立している。現在は面的に応用を広げていく段階であると考えている。
インパクト
現在、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に対応して 非財務情報の開示を行う企業は増えているが、近年では生物多様性や生態系の持続性に配慮した「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」への対応も急速に企業の間に広まっている。気候変動は「炭素」や「温度」を評価指標としやすいのに対して、生物多様性や生態系の状態は複雑で多変数な要素から構成されているため、できるだけわかりやすい評価指標が求められている。この指標に環境DNAや同位体の手法は大いに貢献すると考えている。
必要な要素
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