NISTEP注目科学技術 - 2023_E250

概要
コロナウイルスに対するmRNAワクチンなどの登場によって、人々の遺伝子治療や核酸医薬品に対する見方が大きく変わってきた。多くの人たちが注目することによって、この分野が確実に発展することを願うが、一方で安全性(特に長期的なもの)やドラッグデリバリーシステムなどに関して大きな課題が残っている。今回、コロナmRNAワクチンのドラッグデリバリーシステムとして、脂質ナノ粒子が用いられたが、これは特定の血液脳関門を通過したり、臓器に蓄積したりしやすいことが知られており、そのことから、特定の臓器に炎症を引き起こす危険性がある。このことから、mRNAワクチンなどの核酸医薬品の技術開発と並行して、「核酸医薬品などによって引き起こされる新たな疾患などに関する研究」も今後進めて行く必要性がある。とりわけ核酸医薬品である以上、それが医薬品接種者のゲノムDNAに取り込まれる危険性は常につきまとうことから、そのような危険性を排除するための研究も必要であると考える。
キーワード
核酸医薬品 / mRNAワクチン / ドラッグデリバリーシステム / 遺伝子治療
ID 2023_E250
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 47 (薬学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
既に大規模にmRNAワクチン接種が進められているため、開発当初は想定されていなかったような、核酸医薬品に由来する新たな疾患が今後出現してくる可能性が極めて高い。このことから、核酸医薬品に由来する疾患や後遺症に関する調査体制を迅速に構築する必要がある。何故なら、時間が経てたば経つほど、因果関係が不明となり、調査が困難になるからである。まずは、医学界、科学界の中に、そのような新たな疾患が出現する可能性があることを周知し、啓蒙することが必要である。
インパクト
他国においては、既に核酸医薬品(DNAまたはRNAワクチン)に由来する様々な疾患が報告されている。このことから、mRNAワクチンの接種数が世界でも突出して多い我が国においても、人々に認知されていないだけで、既に多数の被害報告が出ているものと予想される。まずは全体像を把握するために、関係各所にこのことを通知することが必要であろう。被害者の数は被害内容が多岐に亘ることが予想されることから、データベース化は必要不可欠であると考えられる。
必要な要素
我が国においては、核酸医薬品に由来する疾患や後遺症が存在することがまだほとんど認知されていない。まずは、医学界や科学界、更には医療行政などに、そのような事実が存在することを周知・啓蒙することが必要である。その上で、その被害規模がどれほどのものであるかを調査し、データベース化することが必要である。