NISTEP注目科学技術 - 2023_E246
概要
海洋プラスチックごみ対策およびその基盤となる分布、挙動ならびに生物への影響解析が深化し、SDGsの目標の一つである海洋ごみや富栄養化を含む、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する目標に対して目処がつく。一方、極端な富栄養化対策が進行し、漁獲量の現象が見られつつあるため、バランスを踏まえた目標が提示される。海洋プラスチックごみ対策の一つとして研究が進められている生分解性プラスチック素材の開発が進み、特に、深海など低温高圧環境でも分解が進む素材の開発が行われ、商品化への道筋が産官学連携で進む。また、環境から微生物によるプラスチック分解菌が分離・単離され、プラスチックの処理について、複数の選択肢が提示される。
キーワード
地球環境 / 海洋プラスチック / 環境保全
ID | 2023_E246 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 64 (環境保全対策) |
分析データ クラスタ | 31 (環境化学) |
研究段階
生分解性プラスチックについては、研究室レベルで開発し、それを様々な環境における評価試験が実施されている。企業等の共同研究もすすみ、一部は開発が進みつつある。
インパクト
海洋プラスチックごみ対策については、G20等で国際的な対策が求められている政策の一つである。このため、日本から発信する新たな対策の一つとして、生分解性プラスチックの華髪があり、国内外への貢献大となる。また、海洋環境など、安全・安心の維持・向上に資するものであり、健康・幸福度向上、くらし・ライフスタイルの改善が見込まれる。
必要な要素
生分解性プラスチックが開発された暁には、「やがて分解されるからポイ捨てでも大丈夫」という風潮が社会に蔓延することが危惧される。分解にはある程度の時間がかかるため、環境への負荷は生じる。また、魚介類等人が利用する生物には短期間でも何らかの影響がありうることを念頭にする必要がある。生分解性プラスチックが開発された段階で環境や生物への影響はなくなったと思い込むのではなく、現在環境中に放出されてしまっている海洋プラスチックについて、継続的なモニタリングを実施し、確実に減少していることを確認する事が必要である。環境中に放出されてしまった海洋プラスチックのうち、微細化してしまったものへの対策・回収技術開発や生物への影響調査を継続的に実施する必要がある。