NISTEP注目科学技術 - 2023_E24

概要
携帯電話会社(ソフトバンク社)の基地局に設置されたGPS観測点の活用がなされると、国土地理院による1100点ほどのGPS観測点数を上回る3300点が利用できるようになるので、地殻変動の把握能力や分解能の向上が起き、日本における地震観測研究が急速に発展するだろう。
キーワード
GPS / 地殻変動 / 測地学 / 地震学
ID 2023_E24
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 環境
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 17 (地球惑星科学)
分析データ クラスタ 62 (地震・プレート・地層・マントル)
研究段階
上記の民間事業者によるGPS観測点の研究期間へのデータ解放は2022年に開始した。2022年の能登半島地震という規模がそこまで大きくない内陸地震での地殻変動が詳細に把握できた。これからもっと活用が期待されるだろう。
インパクト
日本の基盤地震観測網による地震計の平均観測転換距離は15kmくらいである。現在の国土地理院によるGPSの観測点の間隔は20-25kmだが、携帯電話事業者の点が使えると10kmくらいとなり、地震観測網の観測データとの比較研究や連携がよりできるようになる。それにより局所的で小さな地殻変動やスロースリップと呼ばれる非地震性のすべりをより正確に把握できるようになる。民間事業者による稠密なGPS観測網によるデータは、将来的な地震予知のための地殻変動観測にも貢献できる可能性があり、地震学・測地学分野での研究発展が期待される。
必要な要素
民間事業者によるデータであるため、GPS観測点の詳しい設置場所がオープンではなく、データ利用コンソーシアムに参加しないの研究者にとっては使用できないことをどうするかが課題と思われる。