NISTEP注目科学技術 - 2023_E235
概要
宇宙空間で自律的に運用される超小型人工衛星に搭載可能となる高性能かつ低消費電力な宇宙機専用コンピュータの開発が注目技術として挙げられる。宇宙空間での活動においては、近年の宇宙技術の発展に伴う宇宙機の数の増加が著しく、地上からの運用コストを削減するためにも、機械学習や強化学習をオンラインで行いながら自律的に運用する仕組みが求められている。自律化のためには、ロボット分野などで開発されている高度な制御技術を利用する必要があり、極めてコンピュータの計算能力が求められる。一方で、宇宙空間での活動においては、電源や電池の容量や電圧特性に様々な制約が課されるため、コンピュータが利用できる電力は制限される状況にある。そこで、汎用を目指すのでは
なく極力無駄を排除した形の必要な機能に特化した専用システムが好ましいと考えられる。宇宙空間においては、放射線の影響が地上の100倍程度あることから、耐放射線対策を施したコンピュータを実装する必要があることに加え、部品の故障に対してすぐに交換できないという点から冗長化構成などの高信頼技術を組み合わせていく必要がある。そこで、高信頼で自律化できるコンピュータのグランドチャレンジとして、宇宙空間へシステムレベルで応用して実証していくための技術が注目に値する。
なく極力無駄を排除した形の必要な機能に特化した専用システムが好ましいと考えられる。宇宙空間においては、放射線の影響が地上の100倍程度あることから、耐放射線対策を施したコンピュータを実装する必要があることに加え、部品の故障に対してすぐに交換できないという点から冗長化構成などの高信頼技術を組み合わせていく必要がある。そこで、高信頼で自律化できるコンピュータのグランドチャレンジとして、宇宙空間へシステムレベルで応用して実証していくための技術が注目に値する。
キーワード
宇宙 / ロボット / 機械学習 / 強化学習
ID | 2023_E235 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 情報通信 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 60 (情報科学、情報工学) |
分析データ クラスタ | 38 (計算機・電気通信・通信デバイス・量子計算機) |
研究段階
スタートアップ企業が実証実験レベルの取り組みをしていたり、国内外の研究室で次世代技術を開発している段階といえる。
インパクト
宇宙利用の面で、新たなサービス・事業・産業の創出、既存産業の発展への寄与、産業競争力の向上につながる。また、宇宙空間という非常に制約の強い環境において、高信頼性が確保されるコンピュータを自律して運用できる技術は、社会インフラを構築していく上で求められる様々な高信頼が求められるコンピュータの運用にも応用できるため、社会的基盤(都市・地域・交通・インフラ)の強化につながる。例えば、社会インフラを支えるクラウドの運用技術とも、相互に連携できる技術となるであろう。
必要な要素
本技術開発は、システム化のための統合技術とその運用技術という側面があることから、宇宙技術開発における研究者と、コンピュータ科学者、コンピュータシステム研究者、クラウド運用者などが一堂に会する組織を作ったり、運用を行うテストベッドの整備が必要であると考えられる。