NISTEP注目科学技術 - 2020_E980
概要
環境DNA
本技術は、2010年代中頃から学術的に技術開発が開始され、2020年に入り環境分析手法としては確立したとも言える科学技術である。しかし、社会実装という面では今後さらなる研究・技術開発が必要であるとともに、水中生物のみならずDNAやRNAを持つすべての生物やウィルスを対象とした調査手法へ展開されることを期待している。
2020年の新型コロナ感染症は、一躍「PCR検査」という手法を世界中に知らしめたが、環境DNAの原理は全く同じである。水中に浮遊する生物由来のDNAの破片を採水により収集しこれを濃縮、PCR検査器にてDNA配列を増幅させ既知の生物のDNA配列(プライマー)と同定することにより、対象としている生物の存在の有無を評価する調査手法である。一見簡単そうに思えるが、調査対象とする生物毎に、その生息環境の場に応じた調査手法や分析結果の評価技術も構築しなければならない。河川や湖沼の環境DNA調査で希少種の存在を確認できたとしても、いつどこにいたのかを把握することはできないし、それがどの程度の数生息していたのかもわからない。こういった生物の生息情報を検討できるレベルにまで調査手法を高度化していく必要がある。現在、環境省や国交省などがこの調査手法を実務に取り入れるための研究開発を開始しているし、環境DNA学会が設立され産官民での技術情報の共有も行われている。しかしながら、生物やウィルスの生態を扱うことから生物研究者の補強も必須である。、PCR分析技術の高度化を担う工学的技術者との分野連携により環境DNA技術の高度化を図る必要がある。
そのため、河川・湖沼・海域を対象とした生物資源管理や畜産・農産物の感染症対策、人の健康被害を防止するための感染症対策などへの活用を視野にした、IoT、ICT技術と生態調査技術を融合させた環境DNA調査技術を開発することが重要である。特に、気候変動の影響によると考えられている海水温や海流の変化は日本近海のさんまを初めとする回遊魚の漁獲高の不安定化や、鳥インフルエンザや豚コレラなどの家畜感染症対策とされる一斉殺処分がもたらす畜産事業の甚大な損害などは、近々の課題である。こういった事態に対し、科学的な調査データに基づいた対策を講じることで、結果、日本の生産性を向上させることに貢献できるはずである。
本技術は、2010年代中頃から学術的に技術開発が開始され、2020年に入り環境分析手法としては確立したとも言える科学技術である。しかし、社会実装という面では今後さらなる研究・技術開発が必要であるとともに、水中生物のみならずDNAやRNAを持つすべての生物やウィルスを対象とした調査手法へ展開されることを期待している。
2020年の新型コロナ感染症は、一躍「PCR検査」という手法を世界中に知らしめたが、環境DNAの原理は全く同じである。水中に浮遊する生物由来のDNAの破片を採水により収集しこれを濃縮、PCR検査器にてDNA配列を増幅させ既知の生物のDNA配列(プライマー)と同定することにより、対象としている生物の存在の有無を評価する調査手法である。一見簡単そうに思えるが、調査対象とする生物毎に、その生息環境の場に応じた調査手法や分析結果の評価技術も構築しなければならない。河川や湖沼の環境DNA調査で希少種の存在を確認できたとしても、いつどこにいたのかを把握することはできないし、それがどの程度の数生息していたのかもわからない。こういった生物の生息情報を検討できるレベルにまで調査手法を高度化していく必要がある。現在、環境省や国交省などがこの調査手法を実務に取り入れるための研究開発を開始しているし、環境DNA学会が設立され産官民での技術情報の共有も行われている。しかしながら、生物やウィルスの生態を扱うことから生物研究者の補強も必須である。、PCR分析技術の高度化を担う工学的技術者との分野連携により環境DNA技術の高度化を図る必要がある。
そのため、河川・湖沼・海域を対象とした生物資源管理や畜産・農産物の感染症対策、人の健康被害を防止するための感染症対策などへの活用を視野にした、IoT、ICT技術と生態調査技術を融合させた環境DNA調査技術を開発することが重要である。特に、気候変動の影響によると考えられている海水温や海流の変化は日本近海のさんまを初めとする回遊魚の漁獲高の不安定化や、鳥インフルエンザや豚コレラなどの家畜感染症対策とされる一斉殺処分がもたらす畜産事業の甚大な損害などは、近々の課題である。こういった事態に対し、科学的な調査データに基づいた対策を講じることで、結果、日本の生産性を向上させることに貢献できるはずである。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E980 |
---|---|
調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 40 (森林圏科学、水圏応用科学) |
分析データ クラスタ | 51 (生物生態・多様性) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
環境DNA調査技術の高度化に対する必要性は十分条件として満たしているはずである。10年後、いや5年後に社会実装し、この技術を活用して生態系の管理・モニタリングを行うことによる経済効果をどのようにとらえるのか、といったことだけであろう。技術開発としてのブレイクスルーとしては、環境DNA自動分析器といった完全自動による調査技術機器とするためのバッテリーや通信、自動運転・自動航行などの工学的技術開発が同時に成立していく必要がある。つまり、できるだけ低廉に多くのデータを取得できる調査機器を開発することが必要状況となる。そして、こういった工学技術は自動車やドローンなどの自動運転技術の高度化により同時に実現していくであろう。
ブレイクスルーに必要なものは、従来、低生産性と認識されてきた一次産業のポテンシャル、つまり日本の持つ資源のポテンシャルを再認識し、その高付加価値化(高次産業化)のための政策として技術開発投資を日本の政策に位置付けることである。
ブレイクスルーに必要なものは、従来、低生産性と認識されてきた一次産業のポテンシャル、つまり日本の持つ資源のポテンシャルを再認識し、その高付加価値化(高次産業化)のための政策として技術開発投資を日本の政策に位置付けることである。