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NISTEP注目科学技術 - 2020_E967

哺乳動物の発生工学分野において、遺伝子組み換え動物の作製や体細胞クローン技術など、大きな技術革新があった。今後は、以下の２つの技術が注目されると考える。
一つは、ＤＮＡの配列情報だけで生命を作り出す技術である。体細胞クローンにより生命の誕生に必ずしも精子や卵子のゲノムが必要ではないことが分かった。一方で、in vitroでのゲノム合成技術が飛躍的に進んでいる。これらを合わせると、いずれはin silicoでデザインしたゲノム配列をもとにin vitroでゲノムを合成し、そこから動物を作製する時代が来るかもしれない。
もう一つは人工子宮技術である。すでに海外ではある程度の進捗を見せているが、成功すれば生殖医療や家畜繁殖分野で革新的な技術となる可能性がある。

全ゲノムをin vitroで合成するにはまだまだ１０年以上の時間が必要であると思われる。さらに、それを1 unitのみ取り出して卵子等に注入するのも困難が予想される。それらが達成されても、そこから生命誕生をさせるには、様々なエピジェネティックな修飾が必要とされることは想像に難くない。よって、１０年以上の時間は必要である。
人工子宮に関しては、上述の通り途中段階なら進捗があるようである。しかし、今後は技術の安全性、再現性をもとめて１０年以上の技術開発は必要になると考える。