NISTEP注目科学技術 - 2020_E919
概要
近年、人工的に細胞の機能を再構成する研究(いわゆる人工細胞研究)は、次世代のバイオテクノロジーとして大きな注目を集めており、欧米で次々に大型プロジェクトが立ち上がっている(欧州BaSyC, ドイツNSFなど)。現在、合成生物学分野では天然の生物や細胞を人間の役に立つような改変が行われているが、この改変の究極の形が人工的にすべてをデザインした人工細胞である。天然の生物は人間の都合よくできていないため、改変できるのはごく一部であるし、ブラックボックスが未だ多く、思ったように改変できないことも多い。それに対し、人工細胞技術では、機械を設計するように完全に制御できる形で細胞機能を再構成することを目指す。これにより、生物のもつ能力を制御可能な形で取り出すことができる。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E919 |
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調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学) |
分析データ クラスタ | 6 (分子生物学/診断・治療) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
現状の人工細胞研究は、細胞の機能の一部(DNA複製や翻訳、エネルギー生産など)を切り取ってそのまま、あるいは劣化した形で試験管内で再構成をするだけにとどまっている。この傾向は日本に限らず世界でも同様である。今後、天然の細胞にまねできないような新しい価値を構築できなければ、人工細胞研究にブレークスルーはない。最も大きなボトルネックは「増殖する能力」をもつ人工細胞ができていないことである。この能力がなければ人工細胞はただの高級なおもちゃで終わってしまう。そしてこの機能を達成するには、そのコアとなるDNA複製・転写・翻訳・膜合成・代謝といった細胞内機能を再生産する能力をもつ人工細胞の開発が必要である。