NISTEP注目科学技術 - 2020_E917

概要
学習する人工細胞の構築技術と制御技術。
学術変革領域研究Aで行われている「分子サイバネティクス」研究。
最小単位からなる人工細胞系に、パブロフの条件反射的な反応をさせることを目標に、研究が進められている。AとBという異なる信号を人工細胞系に入力し、その時にCという反応をすることを覚えさせる。それを繰り返す後、Aという信号がなくてもBという信号のみで、Cという反応をすることが出来るようになる、というものである。この領域ではこれを学習という言葉で読んでおり、学習や記憶をすることが出来る人工細胞系の構築に取り組んでいる。
生命のような複雑な構造体は、タンパク質やDNAといった「部品」の単なる組み合わせだけでは構築できないのではないか、と言うのは、うすうす気づかれ始めている。しかし、では一体何があれば生命のような複雑な構造体が形成できるのか、という答えは明らかではない。本技術は、その要因の一つとして学習や記憶というのもを取り上げ、検討していくものと考えられる。学習や記憶を、どのようにとらえるか、というのは検討の余地があるが、一つの考え方としてパブロフの条件反射的なものに目を向け検討を始めるのは、数ある可能性の中でも得策の1つだと思う。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E917
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 公的機関
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度 -
2020年調査にはこの項目はありません。
実現時期 10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 61 (人間情報学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
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インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
人工細胞系が実現するパブロフの条件反射は、10年以内に実現するだろう。ただしこれは、自分たちで「学習」や「記憶」というものを定義して、その定義した「学習」や「記憶」を実現した結果であり、これがイコール、一般人が「学習」や「記憶」と呼んでいるものを人工細胞が実現した、というわけではない。
人工細胞系の構築を含むこれからの新規材料開発には、これまでの材料の連続的な改良だけではなく、分子サイバネティクス領域で言われている「学習」や「記憶」等に代表される非線形な現象を取り入れていく必要があると思われる。