NISTEP注目科学技術 - 2023_E227

概要
遺伝子核酸分野の臨床研究において、特に非侵襲な試料中におけるマイクロRNAとAIの組み合わせによる疾患検査手法
これまでに、血液を使ったリキッドバイオプシーとして、マイクロRNA分析による、がんを含めた各種疾患の診断マーカーとして研究されてきているが、唾液のような完全に非侵襲的な検体を応用する例は少ない。しかしながら、唾液であっても複数のマイクロRNAを同時的に分析することでこれをAI解析することで、疾患マーカーとしての感度、特異度が生じることがわかってきた。研究者単体でこれらの臨床研究をしようとすれば、膨大な時間がかかってしまうが、エビデンスはもとより統計的アルゴリズムにより解析されるAIを活用することで驚異的な速さで、かつ人が提唱する仮設と比して高い精度を与えることができる。検査が困難な重篤な疾患においても手軽にかつ高精度な診断医療を提供できる可能性が期待される。
キーワード
マイクロRNA / エクソソーム / リキッドバイオプシー / 遺伝子核酸 / AI
ID 2023_E227
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 企業
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 56 (生体機能および感覚に関する外科学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
既に国立研究機関、民間企業(AI企業、製薬企業)とで共同研究が始まっている。
解析手段、AIアルゴリズムは既に構築されており、今後は臨床治験による運用試験が中心となる。
インパクト
限定的な分野でありながらもプラットフォームとなりうるのが、この遺伝子核酸分野である。
本研究分野もやはり同様であり、実現すると、新しい臨床検査方法としてのプラットフォーム、あっるいは学問の創出となうる。
現在、当該分野について、閉塞的な我が国の市場としてわずか10億円に満たないが、国際市場は数兆円を超えるものである。イノベーションを認めていく政策によれば、我が国の内需を創出できる可能性がないこともない。
必要な要素
新しい、医療の形態、医療の応用について、規制やガイドラインの見直しが必要。
国際的な水準で進めるべき。
なぜなら、産業活動が期待できなければ、当該分野へ投資する動機がなくなってしまうからである。