NISTEP注目科学技術 - 2020_E841

概要
非可食バイオマスから基幹化学品を合成するルート開拓に関する研究開発です。化石資源から再生可能資源へのパラダイムシフトが叫ばれているが、それを社会実装した例は殆どない。真の意味で化石資源への依存を減らして二酸化炭素排出量を削減したいのであれば、生産量の少ないファインケミカルや医薬品を製造ターゲットにするのではなく、生産規模の大きな基幹化学品(例えば汎用樹脂など)の製造プロセスを開発すべきである。過去のこれまでの基礎研究によって、どのようなものが合成できるか?どのようなバイオマス化学品が石化品を代替できるか?、が明確化されつつあるが、それらを効率よく製造するプロセス開発は進んでいない。その最大の理由は反応効率を支配する“触媒”を含む反応系の開発が遅れているからである。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E841
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 大学
専門分野 エネルギー
専門度 -
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実現時期 10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 27 (化学工学)
分析データ クラスタ 31 (環境化学)
研究段階
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インパクト
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必要な要素
課題解決型プロジェクトを基本としたバイオマス変換用触媒およびその反応プロセスの開発を誘起する必要がある。化石資源を活用した化学産業、おもに石油化学プロセスはガス化した炭化水素を強烈な温度・圧力条件下にて迅速かつ効率的に目的物質へと変換するプロセスが数多く開発されており,特に石油・天然ガスなどを一次原料となるベンゼン類や短鎖オレフィン(エチレン,プロピレン,ブタジエンなど)へと変換するプロセスの効率・環境負荷の少なさは群を抜いている。
バイオマス変換反応では、酸素含有率が多くガス化することができない炭水化物を取り扱う液相プロセスになるため、これまでの石油化学工業プロセスで培った基礎技術をそのまま適用することはできず、バイオマス資源から一次原料を製造する過程が極めて未熟である。一方、一次原料へと誘導された後の下流プロセスは洗練された反応例が数多く報告されつつある。
よってバイオマス資源を一次原料へと誘導する高効率かつ大規模反応プロセスの設計,それを可能にする“新しい触媒”の開発が進められるべきである。それを踏まえて下流プロセスの効率アップを図ることができれば、再生可能炭素資源を利用した新らしい環境調和型産業が社会実装されるであろう。