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NISTEP注目科学技術 - 2020_E832

災害大国であるわが国において、近年全国的に地震や台風、豪雨等の被害が頻繁に発生している。特に、降雨量が100mm／hを超える集中豪雨による被害が多数発生しており、その一つ一つが甚大な被害をもたらしている。そのため、防災・減災の観点から災害状況の正確な把握や予測に関する科学技術の発展は必要不可欠であるといえる。
一方でわが国は超高齢社会に突入しており、今後より一層安全で安心な社会の実現が求められる。そのような状況の中、住民や地域における事前準備の不足や発災時における住民の避難誘導の遅延等によりさらなる二次災害が起こる可能性も高くなる。そこで、今後より一層高齢者等の災害弱者が多くなる現状を鑑み、これまでのハードウェアによる対処を行ってきた防災対応を背景として、今後注目される科学技術は、人工知能（AI）等の先進技術を活用した迅速で正確な状況データの収集・分析、そしてその結果から導かれた対処の情報を可能な限り素早く住民に届け、命を守るための先進的な科学技術の利活用である。

従来、水位計やカメラ、センサを用いて河川の水位が計測されており、適宜状態の把握結果に基づき住民に対して必要な指示が出されていた。そのような中、特に河川水位が急激に上昇する豪雨災害の場合、短時間に急激な変化が起こることから避難等の時間に十分な余裕を持ったタイミングで情報提供や指示を住民に伝えることが難しく、堤防の決壊を伴うことで逃げ遅れ等が頻繁に発生している。そこで人工知能（AI）を活用した新たな河川氾濫に着目した危機管理システムは、過去に甚大な被害をもたらした膨大な河川氾濫のカメラ映像（画像）をもとに学習させ、新規にカメラで撮影された映像による画像判読から豪雨時早期に危険性を見出すものである。