NISTEP注目科学技術 - 2020_E800
概要
腸管微生物叢の最適化とその手法:
人類をはじめすべての動物は腸管微生物叢と共生しながら進化発達を遂げてきたと想定される。特に腸管の微生物叢は体内でもっとも大きな微生物集団である。生体との相互作用はエネルギーの大部分を微生物に依存する動物種から限定されたヒトまで動物に応じて多様である。これまでヒトと腸内微生物叢との関わりは動物モデルを使ってその無菌動物を開発し、研究されてきたが、ヒトでは動物と異なり人工菌叢を作製することが実験上困難でその理解は進んで来なかった。しかし、近年、DNA技術の発展で微生物叢のプロファイルがDNAレベルで解析可能となり、病態やメンタルとの関係が指摘され解析されつつある。特に近年、ヨーロッパなどでの炎症性腸疾患における健常者の糞便移植による病態改善効果は腸管微生物叢の最適化の意義を示唆したものとして注目された。しかしながら、日本を含め微生物叢療法は一般的な処方とはなっていない。また既にプロバイオティクスやプレバイオティックスとして多くの微生物やその増殖促進因子が提案されているが、まだまだ研究途上であるように思われる。そこには宿主側因子や食事因子等の多様性に起因する問題があり、微生物との相互作用は極めて複雑なものになっていると推測される。したがって、このような多様性を克服して、将来、ヒトの健康維持、病気の予防に寄与する腸管微生物叢を最適化する手法の開発が望まれる。
人類をはじめすべての動物は腸管微生物叢と共生しながら進化発達を遂げてきたと想定される。特に腸管の微生物叢は体内でもっとも大きな微生物集団である。生体との相互作用はエネルギーの大部分を微生物に依存する動物種から限定されたヒトまで動物に応じて多様である。これまでヒトと腸内微生物叢との関わりは動物モデルを使ってその無菌動物を開発し、研究されてきたが、ヒトでは動物と異なり人工菌叢を作製することが実験上困難でその理解は進んで来なかった。しかし、近年、DNA技術の発展で微生物叢のプロファイルがDNAレベルで解析可能となり、病態やメンタルとの関係が指摘され解析されつつある。特に近年、ヨーロッパなどでの炎症性腸疾患における健常者の糞便移植による病態改善効果は腸管微生物叢の最適化の意義を示唆したものとして注目された。しかしながら、日本を含め微生物叢療法は一般的な処方とはなっていない。また既にプロバイオティクスやプレバイオティックスとして多くの微生物やその増殖促進因子が提案されているが、まだまだ研究途上であるように思われる。そこには宿主側因子や食事因子等の多様性に起因する問題があり、微生物との相互作用は極めて複雑なものになっていると推測される。したがって、このような多様性を克服して、将来、ヒトの健康維持、病気の予防に寄与する腸管微生物叢を最適化する手法の開発が望まれる。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E800 |
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調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 38 (農芸化学) |
分析データ クラスタ | 60 (感染症・ワクチン・治療薬) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
ヒト腸管微生物叢の最適化というコンセプトを評価するためにはさらなる多くの基礎研究が必要と思われるが、この分野の研究で一番感じることはマウスを中心にした動物モデル系での成果と実際のヒトでのギャップである。近年の技術革新によってヒトでの解析も著しく進展したが、やはり上記のコンセプトを評価し、さらにそのための手法と技術を評価するためには研究成果が蓄積している動物(マウス)モデルとヒトをつなぐ実験システム、新たなモデルの構築が必要のように思われる。微生物叢の影響は広範囲、さらに累積的で長時間に及ぶため医薬品開発以上に適当な実験システムが必要かもしれない。