NISTEP注目科学技術 - 2023_E214
概要
海草や海藻、マングローブ林などの沿岸生態系によって海中に固定される二酸化炭素をブルーカーボンといい、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として注目されている。しかしながら、このブルーカーボンの量については未知の部分が多い。ブルーカーボン量を定量的に推定しようとする試みは世界中で研究されており、近い将来ブルーカーボンの推定方法が確立し、地域ごとあるいは世界規模のブルーカーボン量が明らかになることが期待される。
キーワード
ブルーカーボン / カーボンニュートラル / 沿岸生態系
ID | 2023_E214 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 宇宙・海洋・科学基盤 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 40 (森林圏科学、水圏応用科学) |
分析データ クラスタ | 14 (気候) |
研究段階
海草や海藻、マングローブ林などの各沿岸生態系の種類によって、海中に固定される二酸化炭素量は異なってくる。このため、各生態系により海中に固定される単位体積当たりの二酸化炭素量の推定方法が研究されている。沿岸生態系の種類は多いため、すべての種類について個別にブルーカーボンとしての寄与率を見積もることは容易ではないが、類似する生態系には同様の推定を利用することである程度効率化できると思われる。
地域規模でブルーカーボンを見積もるには、各沿岸生態系の分布を推定する必要がある。これまで、藻場やマングローブ林などの分布については、衛星画像や空中写真を用いたリモートセンシング手法により効率的にマッピングできる手法が開発されてきた。ただ、これらのリモートセンシング手法で分かるのは上から見た水平方向の分布であり、鉛直方向のボリュームは別の方法で推定する必要がある。
各生態系により海中に固定される単位体積当たりの二酸化炭素量の推定方法も生態系の分布を推定するリモートセンシング手法もいくつか研究課題はあるものの、ブルーカーボンの概算には利用できる段階にきており、今後はさらに高精度でカーボン量を推定できるようになることが期待できる。
地域規模でブルーカーボンを見積もるには、各沿岸生態系の分布を推定する必要がある。これまで、藻場やマングローブ林などの分布については、衛星画像や空中写真を用いたリモートセンシング手法により効率的にマッピングできる手法が開発されてきた。ただ、これらのリモートセンシング手法で分かるのは上から見た水平方向の分布であり、鉛直方向のボリュームは別の方法で推定する必要がある。
各生態系により海中に固定される単位体積当たりの二酸化炭素量の推定方法も生態系の分布を推定するリモートセンシング手法もいくつか研究課題はあるものの、ブルーカーボンの概算には利用できる段階にきており、今後はさらに高精度でカーボン量を推定できるようになることが期待できる。
インパクト
ブルーカーボンの推定方法が確立することで、カーボンニュートラルに向けた具体的な戦略に取りこむことができる。具体的にはブルーカーボンもカーボン・クレジットとして扱うことが可能となり、ブルーカーボンの重要性が経済的な価値としてあらためて認識されることで、海洋生態系の保全、回復に向けた取り組みが加速されると考えられる。海洋生態系はブルーカーボンとしての価値だけでなく、多くの海洋生物の生息場としても非常に重要であり、健全な海洋環境の維持・管理にも大きく貢献できる。
必要な要素
ブルーカーボンの推定やカーボン・クレジット化については地域レベルでは行われてきているものの、今後は国際的にブルーカーボンの推定方法等について合意できる形で標準化していくことが必要である。