NISTEP注目科学技術 - 2023_E212

概要
ヒトの物理シミュレーション技術が注目される.ヒトにおける脳を含む中枢神経系および筋骨格系モデルを物理シミュレーションで動作させることができれば,モデルをベースとした様々な仮説を導き出すことができる.この仮説によりヒトの脳神経系の解明や神経疾患へのアプローチとなる.
しかし,これにはモデル推定のための膨大な計算機パワーが必要である.近年は計算機パワーを軽減するモデルが提案されている.この技術および計算機パワー向上の技術が非常に重要となる.
すなわち,深層学習を始めとした学習手法,および量子コンピューティングである.
キーワード
量子コンピュータ / 深層学習 / 物理シミュレーション
ID 2023_E212
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 61 (人間情報学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
深層学習は既に様々なものがライブラリとして提供されており,今後も社会的に展開されていくものと考える.量子コンピュータは一部企業が提供し始めているが使用方法も含めまだまだ発展段階と言える.研究開発段階と言えるかもしれない.これらの発展に伴い物理シミュレーションも発展していくであろう.現在使用されているものでも十分実用段階であると言えるが.
インパクト
量子コンピュータにより最適化計算が飛躍的に向上すると社会的な影響はおびただしい.現在でもChatGPTが問題視されているが,様々な分野でAI化が加速するであろう.しかしながら,基礎学問の分野では今まで計算が追い付かなった問題を解決することができる.これは非常に大きな進歩となり得る.
必要な要素
量子力学的な素材研究およびその素材を生かすアルゴリズム研究が必要であろう.そしてそれを如何に使える状況に導くかというユーザインタフェースの研究も必要になる.