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NISTEP注目科学技術 - 2020_E689

In vitro個体発生技術。
近年、京都大学や九州大学の研究グループによって体細胞初期化による生殖細胞の試験管内分化研究が、マウスから非ヒト霊長類モデルへと移行して精力的に進められている。今後は、分化させた配偶子（精子と卵子）を受精させ、人工的に作製した子宮で着床・発生させることで母体を介すことなく個体発生できる日が近い将来訪れると予想される。
この技術は、ヒトでは倫理問題が大きなハードルになるが、家畜ではすぐに実用化できる可能性が高い。家畜で実現すれば、鳥インフルなどの家畜伝染病のリスク減、飼育に係るコスト減、さらには頭数削減によって牛のメタンガス排出問題などの環境問題の改善にも一定の貢献が期待できる。

最大の課題は、着床・個体発生に必要な人工子宮の開発である。特に、家畜であればそれだけ大規模な装置になることから、理学・医学・農学などの生命科学者だけでなく材料工学や生体医工学などを専門とする研究者との強力な連携が必要になってくる。