NISTEP注目科学技術 - 2020_E625

概要
細胞集積および細胞シート形成技術を活用した立体組織形成:近年、細胞塊を集積あるいは細胞シートを重層し、培養細胞を用いて人工的に立体的な組織を形成する技術が急速に発達しつつある。将来的には、iPS技術と併用した再生医療用置換臓器の形成、安定供給可能な人工培養肉の製造技術の確立などに結びつく。前者については、すでに単純な組織置換による治療や実験動物への組織移植(担がんマウス作製)などに応用されており、良好な治療成績あるいは研究実績を有している。機能性の組織である臓器を人工的に形成するに至るまでにはなお一層の技術的進展が必要と考えられるものの、この技術が確立されれば医療の在り方が大きく変わり、一般公衆における更なる健康促進、寿命延長が期待される。一方、後者は前者よりも技術的なハードルは低く、食料の安定供給、安心安全な食肉の確保などにつながる。気候変動や社会情勢変化に影響されることがないため、安全保障の観点からも有用な技術と言える。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E625
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 団体
専門分野 ライフサイエンス
専門度 -
2020年調査にはこの項目はありません。
実現時期 10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 56 (生体機能および感覚に関する外科学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
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インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
細胞塊の集積、細胞シートの形成など単純な組織形成については、すでに技術的に確立していると言っても過言ではない。機能性の臓器を形成するには複雑な立体構造をいかに実現するか、iPS技術との併用においては、いかに目的の組織に必要とされる細胞へ分化させて効率よく大量培養するか、不必要な分化やがん化をいかに抑制するかなど、様々な課題を解決して行く必要がある。また、疾患の治療の観点から遺伝子編集技術との併用も考えられる。再生医療のみならず人工培養肉の作製においても、倫理的あるいは感情的な理由により社会から忌避的な反応を受ける可能性を否定できない。本技術に限らず、革新的な科学技術の導入、社会実装に際しては、学校教育などにおける正しい科学的な知識に基づくリテラシーの醸成(適切に理解、解釈、分析して自分の知識として記述可能とするレベル)についても十分な注意を払われたい。