NISTEP注目科学技術 - 2023_E198

概要
トポロジカル物性に基づくテラヘルツ領域の電波・光制御技術の開発:
5G以降の通信技術とそれを支える物質・デバイス技術は経済安全保障の観点から戦略的なものとなり後手を引くことは許されない状況にある。通信の広帯域化はとどまることを知らず既に6Gの規格が提案されており、今後テラヘルツ領域がポスト6Gの主戦場になると想定する。イニシアチブを握るには競争力には欠ける既存の半導体に加えて新たな材料の開発・使いこなし技術が求められるが、室温での機能発現が可能でありテラヘルツ領域でのキーマテリアルになり得るトポロジカル物性・物質の技術確立に期待する。
キーワード
ポスト6G / テラヘルツ / トポロジカル物質
ID 2023_E198
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 企業
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 21 (電気電子工学)
分析データ クラスタ 38 (計算機・電気通信・通信デバイス・量子計算機)
研究段階
トポロジカル物性やテラヘルツ領域の光物性は我が国でも精力的に研究されているものの、中国、米国、等諸外国での研究開発の物量には押されている感が否めない。
インパクト
我が国の中長期的課題として、人口減少とそれに伴う内需減少による経済悪化や地方の市町村崩壊、少子高齢化による認知症患者増大(社会保障費の増大)や農業従事者の減少等が挙げられる。人口減少による地方の市町村崩壊という課題の解決には東京一極集中を解消する必要があり、在宅勤務の主流化によりどこにいても働く事が可能な社会の実現が望まれる。5G・6Gあるいはbeyond 6Gといった高速通信技術によるリアルなコミュニケーションの実現によって自分の意思で働く場所と時間を選べるようになれば、国内の居住地・就業地の選択のみならず海外に居住する人材の雇用もシームレスに可能となり、より適材適所での働き方が可能になる。
必要な要素
先にも述べたように通信のメインストリームとなる技術の開発は米国からの意向もあり戦略的な扱いを受けると想定されるため米、独等の西側諸国との連携が有効と想定される。既に5Gでは後塵を拝しており、6Gの研究開発は国家戦略と位置付けるとアナウンスされてはいるもののこの世代での技術開発で圧倒的な優位に立てるといった楽観的な見込みは廃すべきであろう。したがって6GのみならずBeyond 6Gも見据えてデバイス・システム技術としての開発要件を共有できる企業との連携がサイエンスのみならず技術的ブレークスルーを成し遂げる上で有効と考える。