NISTEP注目科学技術 - 2020_E588
概要
環境問題には、気候変動、資源循環、生物多様性などがある。現在これらの問題を解決するためには、人間活動が気候変動や生物多様性に与える影響を定量的に評価する技術が必要である。気候変動に関しては、ライフサイクルアセスメントやカーボンフットプリントなどの評価手法が研究・開発され、社会実装が進んでいる。製品がライフサイクルを通じて発生するCO2を定量的に評価することができる。また、組織についても、組織が投入する資源やエネルギーや排出する資源、CO2,廃棄物などのデータから算出することができる。これらの結果をもとに、現状の把握や定量的な目標を設定することができるところまで来ている。一方、生物多様性についても、資源消費がどのくらい生物多様性や生態系に影響を与えるかを評価する手法が開発され、一部の評価に活用されている。製品のライフサイクルを通じて、生態系に与える影響を評価する手法として、LCIAなども開発されて、活用されつつある。気候変動や生物多様性の問題は、現在国際的に設定されている世界目標の達成には、なお厳しいものがあり、2050年、2030年の目標達成には、社会全体の変革(生活の仕方、物の生産の仕方、移動の仕方、販売の仕方、資源消費の仕方、資源の選択、廃棄の仕方など)が必要であり、多くの新たな技術や知見が必要である。同時に、これらの技術や知見が、気候変動に関するCO2削減にどの程度効果があるかを定量的に評価する技術が重要である。また、生物多様性に関しても、新たな技術や知見がどのくらい、生物多様性へのネガティブインパクトを削減できるかといった定量的な評価技術が重要である。さらに、これらCO2に関する定量評価技術と生物多様性に関する定量評価技術は、別々の評価技術ではなく、統合化された評価技術であるべきであり、人間の活動や技術の影響を、一括して、同時にCO2排出量と生物多様性へのネガティブインパクトとして評価する技術が必須である。これらに関係する影響評価技術を注目している。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E588 |
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調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 64 (環境保全対策) |
分析データ クラスタ | 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
CO2の排出に関する影響評価技術も生物多様性に関する影響評価技術も、消費する資源の種類および資源消費量が関係し、さらにCO2に対する重み付けや生物多様性に対する重み付けのデータが必要となる。これまでの資源消費のデータは、各国の産業連関表の統計データや世界の資源に関する統計データ(食料、農林水産物、資源消費など)を活用している。そのため、統計データが集計される4,5年サイクルのデータの活用となっている。また重み付けのデータも影響評価する各主体がデータを集め、データベースを作成して決定しているのが現状である。今後社会の要請として、気候変動や生物多様性に関する影響を統合的に評価し、また世界共通の評価方法として評価するためには、これらの統計データや重み付けデータを一括管理し、逐次更新し、さらに多くのユーザーが活用できる共通のプラットフォームが必要である。これを実現するためには、データ集計やAI機能をもったプラトフォームがブレイクスルーとなる。