NISTEP注目科学技術 - 2020_E495
概要
再生可能エネルギー拡大のために発電量を増やしても送電線の空き容量不足に直面し、出力抑制も生じている。この課題を解決する科学技術として、少ない送電ロスで大電力を送電できる「超伝導直流送電」(SCDC)に注目している。
●再生可能エネルギーの拡大と安定化を同時解決
超伝導直流送電(SCDC)は日本が諸外国に先駆けて開発してきた技術であり、SCDC全国網ができれば、再生可能エネルギーの拡大と安定化を同時に実現できる。エリア内の出力抑制がなくなり、再生可能エネルギーの発電適地と電力大消費地がつながる。通常送電に比べて、送電ロスが少なく、超長距離送電が可能で、省エネルギー・省スペース・低コストである。
自然エネルギーの不安定性も地域ごとの蓄電対応でなく、全国の過不足を慣らして対応できる。SCDCには液体窒素循環系が必要だが、世界最長の1000m送電に成功しており、このデータをもとに循環ユニットを長距離化(~100km)できる目処も示された。送電損失も交流送電に比べ1/10にできる。
●高速道路の利用によるSCDC全国網
一方、送電ルートの確保について、2019年度に「エネルギーインフラネットワークと高速道路の高度化に関する研究会」(一般財団法人国土技術センター(JICE)、株式会社国土ガスハイウェイ)で有識者による検討結果が公開されている(http://www.jice.or.jp/reports/autonomy/roads/detail_03)。技術的には、高速道路の空間活用が可能で、効率的な電気・ガス輸送を広域的に行える直接効果と、再エネ活用による温暖化ガス削減、地域創生等の間接効果もあることが示されている。
●海外の追い上げ
我が国のSCDC研究が世界最高性能を示したことから(石狩プロジェクト)、各国(ロシア、中国、韓国、アメリカなど)が日本の方式を研究しており、さらに長距離の建設を始めた国も見られる。一方、我が国ではその後の研究開発を支援しておらず、太陽電池のように我が国の技術をもとに、他国が席巻する恐れが現実化している。
●再生可能エネルギーの拡大と安定化を同時解決
超伝導直流送電(SCDC)は日本が諸外国に先駆けて開発してきた技術であり、SCDC全国網ができれば、再生可能エネルギーの拡大と安定化を同時に実現できる。エリア内の出力抑制がなくなり、再生可能エネルギーの発電適地と電力大消費地がつながる。通常送電に比べて、送電ロスが少なく、超長距離送電が可能で、省エネルギー・省スペース・低コストである。
自然エネルギーの不安定性も地域ごとの蓄電対応でなく、全国の過不足を慣らして対応できる。SCDCには液体窒素循環系が必要だが、世界最長の1000m送電に成功しており、このデータをもとに循環ユニットを長距離化(~100km)できる目処も示された。送電損失も交流送電に比べ1/10にできる。
●高速道路の利用によるSCDC全国網
一方、送電ルートの確保について、2019年度に「エネルギーインフラネットワークと高速道路の高度化に関する研究会」(一般財団法人国土技術センター(JICE)、株式会社国土ガスハイウェイ)で有識者による検討結果が公開されている(http://www.jice.or.jp/reports/autonomy/roads/detail_03)。技術的には、高速道路の空間活用が可能で、効率的な電気・ガス輸送を広域的に行える直接効果と、再エネ活用による温暖化ガス削減、地域創生等の間接効果もあることが示されている。
●海外の追い上げ
我が国のSCDC研究が世界最高性能を示したことから(石狩プロジェクト)、各国(ロシア、中国、韓国、アメリカなど)が日本の方式を研究しており、さらに長距離の建設を始めた国も見られる。一方、我が国ではその後の研究開発を支援しておらず、太陽電池のように我が国の技術をもとに、他国が席巻する恐れが現実化している。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E495 |
---|---|
調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 21 (電気電子工学) |
分析データ クラスタ | 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
①「高速道路の高度化」が勧められており、自動運転などの車に搭載する技術への対応とともに、SA, PAでの給電、移動中の給電をはじめ、太陽電池を含む様々な技術と連携して開発されている。SCDCはこれらと相性が良いので、その特徴を十分に発揮できる活用について研究開発する必要がある。「高速道路利用の高度化」(前出のJICE報告書)の中でSCDC導入が検討されている。
②SCDCは、低電圧で長距離の大電力送電が可能なので、特高変電所が不要となる。その社会実装のための要素技術として、SCDCの大型化(1千万kW送電)、交直変換器・限流機・遮断機等のパワーエレクトロニクス機器の開発と実地試験、冷却の高効率化、超電導送電線の低コスト化などの要素技術開発、超電導発電機と超電導ポンプによる高効率化等のための戦略的な要素技術開発研究などがある。
③法制度を含めた対策の研究開発
これまでに高速道路を活用する場合の制度・機器管理上の課題として、整備空間に関する制度の必要性、起案インフラ整備に関する現行法制度、道路関連法に位置付ける5つのケースが検討されており、事業実施の観点からこの5つを比較している(前出のJICE報告書)。現行の法令の下で基幹エネルギーインフラ施設を整備しようとすると、いずれの法令を適用しようとしても課題がある。そこで、現行法の運用の緩和、現行法の改正、新たな法律制定の3つの方向から検討されている。今後、研究開発を進めて早期に高速道路への敷設実現を目指す必要がある。現行法の改正、または新たな法律制定が進められる可能性がある。
②SCDCは、低電圧で長距離の大電力送電が可能なので、特高変電所が不要となる。その社会実装のための要素技術として、SCDCの大型化(1千万kW送電)、交直変換器・限流機・遮断機等のパワーエレクトロニクス機器の開発と実地試験、冷却の高効率化、超電導送電線の低コスト化などの要素技術開発、超電導発電機と超電導ポンプによる高効率化等のための戦略的な要素技術開発研究などがある。
③法制度を含めた対策の研究開発
これまでに高速道路を活用する場合の制度・機器管理上の課題として、整備空間に関する制度の必要性、起案インフラ整備に関する現行法制度、道路関連法に位置付ける5つのケースが検討されており、事業実施の観点からこの5つを比較している(前出のJICE報告書)。現行の法令の下で基幹エネルギーインフラ施設を整備しようとすると、いずれの法令を適用しようとしても課題がある。そこで、現行法の運用の緩和、現行法の改正、新たな法律制定の3つの方向から検討されている。今後、研究開発を進めて早期に高速道路への敷設実現を目指す必要がある。現行法の改正、または新たな法律制定が進められる可能性がある。