NISTEP注目科学技術 - 2020_E484

概要
現在、電力・産業応用関連で「超電導技術」は注目すべき技術の一つであると考える。
超電導技術は現在、JR東海が進めている超電導リニアや医療機関で使用されるMRIに導入されている。この技術に関して言い方を変えると「強力な磁石」を作る技術であるといえる。よってこの技術をモータ・発電機のコイル等に導入すると、電流密度が高く、強力な磁界を発生するので、モータ・発電機の高出力密度化(出力を維持しつつ従来機よりも軽量となる)が可能となる。
現在、この技術は航空旅客機の電動化と関連が出てきている。すなわち航空機の推進システムの一部をガスタービンエンジンから電気モータに置き換えて温室効果ガスの排出を抑えた高効率なシステムの実現を目指している(航空機版のプリウスやリーフ)中で、重量制限が厳しいため、このような高出力密度な超電導モータ・発電機を適用できる可能性が議論されている。また、超電導モータの冷却に液体水素を使用することが出来れば、超電導体の冷却(抜熱)に用いてガス化した一部の水素をそのままガスタービンエンジン燃料に用いることで、冷却コストに関しても抑えることが可能となる。
また、超電導体の「電気抵抗ゼロ」という特徴を生かして直流送電ケーブルに使用するという研究もおこなわれており、今後の送電電力の高効率化にも貢献する可能性を秘めている。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E484
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 大学
専門分野 エネルギー
専門度 -
2020年調査にはこの項目はありません。
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 21 (電気電子工学)
分析データ クラスタ 36 (熱・流体・波・運動エネルギー)
研究段階
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インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
超電導体を電力機器(モータ、発電機、変圧器、etc. ...)に用いる場合、直流抵抗がゼロではあるが、交流電流・磁界(時間変化する電磁界)に関しては、損失が発生する。これは超電導体が磁性体であり、「ヒステリシス特性」を持つためである。一般的に交流電流・磁界を超電導体に与えた場合に起こる損失を「交流損失」と呼称する。
この交流損失の発生が超電導体の電力機器の実用化を妨げている原因の大きな要因一つである。本損失を抑えるために、超電導材料でワイヤーを作る際に、超電導体表面に切り込みを入れて磁束密度が印加される表面積を小さくして損失を抑えたり、ワイヤの母材に電気抵抗が比較的高い金属を用いるなどの工夫を行い、交流損失を抑えるための研究が活発に行われてきており、今後これらの研究が進んで超電導体の交流損失を低減するための技術ノウハウの蓄積が出来れば、超電導モータ等の実用化も視野に入ってくると考えられる。