NISTEP注目科学技術 - 2020_E426

概要
私は、DASとよばれる光ケーブルにレーザー光の送受信機により、地震動をとらえる技術に注目している。この技術自体はもうすでに開発はされているが、地震動をとらえる歴史はここ2,3年くらいである。特に日本は光ケーブルも国土にくまなく配備されており、また地震の数も世界の地震の約2割が日本列島周辺域で起きているので、新しい地震や地球にまつわる科学の進展が世界をリードする形で日本で起きる可能性が高いと思われる。日本の地震観測体制では、通常20km間隔くらいで地震計が配備されているが、光ケーブルがうまく役立てられれば、国道沿いには10m間隔で地震計が配備されるのと同等のことに相当し観測点の数は宇宙学的に増えると考えてもよい。ただ、ノイズを拾いやすい技術でもあるので、既存の観測網と補い合う方法を考えていく必要もあるだろう。現状では国道に配備された光ケーブルを利用した地震観測の実施は、東北地方や四国で限定的に行われているだけである。もしこれが津々浦々まで進めば、たとえば活断層が普段からゆっくりすべっていたことがわかったり、もっと詳細に内陸地震現象の時間発展の全貌が明らかになるかもしれないし、海溝型巨大地震の前兆の役割を担うスロー地震の研究が進むかもしれない。また、この科学技術は、他への応用が非常に期待され、得られる情報は国道沿いの道路のリアルタイムなメンテナンス情報となりうるし、さらにはトラックの過積載の検知や車両のスピード違反の取り締まりなどにも応用でき、その際は研究者と行政との連携が非常に大事になってくるが、人口減と予算減の世の中の流れの中、人間社会や社会インフラをより適切に維持するのにも役立ち、社会的波及効果も大変大きいと思われる。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E426
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 公的機関
専門分野 環境
専門度 -
2020年調査にはこの項目はありません。
実現時期 10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 17 (地球惑星科学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
学術的なブレークスルーよりも、研究者と行政組織の協力やその協力関係の推進が大事であると思われる。DASを国道沿いに配備された光ケーブルの学術的な利用を推進するような動きがあるほうが、この研究は進むと考えられる。とくに国道を管轄する国土交通省の地方整備局の現場の役人の方たちの科学への理解、国土交通省本省の科学や新しい技術に対する機動力と柔軟性を持った対応が大事になってくると思われる。