NISTEP注目科学技術 - 2023_E178
概要
ゲノム編集あるいはゲノム育種により昆虫を高速に家畜化あるいは改良し、タンパク質資源として用いる技術。たとえば、カイコ、コオロギ、ミルワーム、イエバエ、ミズアブなどの昆虫が対象として考えられる。昆虫は優れたタンパク質資源でありかつ大量飼育による環境負荷も小さいことから、人口増加による食料危機問題を解決する有望な未利用資源である。しかし、これら昆虫には独特の風味等があり、広く普及させるためには改善が求められる。また、生産コストを削減するために大量飼育が必要となるが、昆虫種によっては個体密度増加によるストレスや共食い等の性質がこれを拒む要因となりうる。そこで、ゲノム編集あるいはゲノム育種により、昆虫を高速に家畜化・品種改良する技術が望まれており、研究されている。
キーワード
代替タンパク質 / ゲノム編集 / ゲノム育種 / 昆虫 / 品種改良
ID | 2023_E178 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 39 (生産環境農学) |
分析データ クラスタ | 51 (生物生態・多様性) |
研究段階
各昆虫におけるゲノム編集技術に関しては、SDN-1については実用段階にあるかそれに近いと考えられ、SDN-2やSDN-3については実現できていないあるいは効率や汎用性が低い等の課題を残す。植物におけるゲノム育種についてはいくつもの報告がある一方、昆虫においては取り組みが始められつつある段階である。また、改変すべき形質にかかわる遺伝子やQTLはまだ同定されていないものがほとんどである。次世代シークエンサーの普及により、各昆虫のゲノム情報については整備されてきている。
インパクト
環境・エネルギー・資源・生態系への貢献、社会的課題の解決
必要な要素
昆虫食あるいは昆虫そのものに対する嫌悪感・抵抗感から生じる消費者の反発に対し、科学技術の正しい理解を促すこと