NISTEP注目科学技術 - 2020_E411

概要
Heパスを用いた軟X線分光法。軽元素を含む物質との相互作用が強い軟X線は空気中でも1㎜程度伝搬すると強度が減衰してしまうため、従来は観測したい試料を真空チャンバー中に設置して軟X線分光を行ってきた。しかしオペランド分光などとの組み合わせを考えた場合、電場印加装置や温度変化のセットアップなどは大気圧下で組み上げる方が容易である。また本当のその場観測を行うには真空中での試料表面の分子の状態分析よりも大気圧下における動作下における分析を行うべきである。そこでヘリウムガスを用いた測定セットアップの開発が注目される。原子番号が2番であるヘリウムは一般的な軟X線のエネルギー領域の光に対する吸収強度が低く、ヘリウムで満たした空間では軟X線は1㎝程度まで透過率90%以上で伝搬させることが可能になる。そのため軟X線ビームをヘリウムガスで満たした空間に照射し、その空間に試料を設置しておけば、大気圧下での状態分析が可能になる。密閉空間自体は大きくとることも可能なため、そこに外場印加装置などを配置すればオペランド軟X線分光や、大気圧下での試料の顕微分光などを実施することができると考えている。実際にSPring-8の理研ビームラインやスウェーデンのMAX IIの建設ビームラインにおいてトライされると思われる。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E411
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 大学
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度 -
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実現時期 10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 15 (素粒子、原子核、宇宙物理学)
分析データ クラスタ 37 (電磁波・光学・レーザー・光半導体)
研究段階
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インパクト
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必要な要素
原理は容易であるが、実際に組み上げて信号が取得できるようになるまでの光学調整や外場印加による試料の状態変化がHeパスセットアップの中でも同様に起こっていることを確認していくまでに試行錯誤の時間がかかると考えられる。現場での人々の専門領域は深く狭いことが多いと思われるため開発を加速させるには電池材料、ソフトマターなど実際のものを扱う専門家と軟X線分光の光学系に精通した専門家との協力が不可欠と考えている。