NISTEP注目科学技術 - 2020_E338
概要
「水素冷却による高温超伝導コイルの実現、および超伝導モータの航空機への応用」
高温超伝導材料の研究開発と水素利用の拡大により、液体水素により超伝導体を冷却する技術の実用化が進められている。液体ヘリウムの新規大量入手が世界的に困難であること、また水素化社会では太陽光や風力発電の余剰電力による水素製造も計画されているため、水素による高温超伝導体の実用化は重要である。利用対象は多岐にわたり、核融合発電炉の超電導コイル用としての研究開発が進められているが、併せて着目されているのは超伝導モータによる航空機の電動化であろう。
航空機の電動化は、推進システムのターボファンエンジン部分に高出力密度の超伝導モータや発電機、電力変換器を必要とする一方、発電電力の送電系統最適化、フライトコントロール部分における電気機械式アクチュエータや液体水素燃料の使用検討が進められている。特に、CO2低減の観点から、ジェットエンジンの水素燃料化が脚光を浴びている。水素燃料化により燃料消費量の低減が期待され、軽量化、燃料消費低減とともに、飛行時CO2排出ゼロのため、カーボンニュートラルもしくはカーボンマイナスを目指す社会において有力な手段である。また、水素燃料として極低温液体水素の利用が図れれば、超伝導技術の利用に親和性があり、強力な推進力の得られる超伝導モータの適用も視野に入る。すでに欧州を中心として、航空機への水素適用技術開発が進められており、国内でもJAXAを中心に小型水素ガスタービンと燃料電池を統合した複合サイクルエンジンの開発が進行している。
高温超伝導材料の研究開発と水素利用の拡大により、液体水素により超伝導体を冷却する技術の実用化が進められている。液体ヘリウムの新規大量入手が世界的に困難であること、また水素化社会では太陽光や風力発電の余剰電力による水素製造も計画されているため、水素による高温超伝導体の実用化は重要である。利用対象は多岐にわたり、核融合発電炉の超電導コイル用としての研究開発が進められているが、併せて着目されているのは超伝導モータによる航空機の電動化であろう。
航空機の電動化は、推進システムのターボファンエンジン部分に高出力密度の超伝導モータや発電機、電力変換器を必要とする一方、発電電力の送電系統最適化、フライトコントロール部分における電気機械式アクチュエータや液体水素燃料の使用検討が進められている。特に、CO2低減の観点から、ジェットエンジンの水素燃料化が脚光を浴びている。水素燃料化により燃料消費量の低減が期待され、軽量化、燃料消費低減とともに、飛行時CO2排出ゼロのため、カーボンニュートラルもしくはカーボンマイナスを目指す社会において有力な手段である。また、水素燃料として極低温液体水素の利用が図れれば、超伝導技術の利用に親和性があり、強力な推進力の得られる超伝導モータの適用も視野に入る。すでに欧州を中心として、航空機への水素適用技術開発が進められており、国内でもJAXAを中心に小型水素ガスタービンと燃料電池を統合した複合サイクルエンジンの開発が進行している。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E338 |
---|---|
調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | エネルギー |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 21 (電気電子工学) |
分析データ クラスタ | 36 (熱・流体・波・運動エネルギー) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
水素冷却による超伝導モータでは、極低温で液体水素を安定して維持冷却する技術開発と、その信頼性実証が不可欠である。水素ガスを長期保管する技術は確立されているものの、液体水素では温度制御の損失は気化につながり、またヘリウム冷却とは異なり水素は可燃性であるが故の注意が必要である。これら要素技術は確立されているが、長期安定利用と制御という点での技術開発が必要である。
また、液体水素を利用する環境下に対する材料の低温脆性や水素透過による脆性による強度への影響などの基礎データの集積と、軽量化とのトレードオフとなる対策、対応が必要と考えられる。合わせて、航空機の電動化に伴い、軽量で大容量の電力貯蔵技術の開発も不可欠であり、この電力貯蔵も含めた航空機全体のエネルギーシステムの最適化検討の取り組みも必要である。
また、液体水素を利用する環境下に対する材料の低温脆性や水素透過による脆性による強度への影響などの基礎データの集積と、軽量化とのトレードオフとなる対策、対応が必要と考えられる。合わせて、航空機の電動化に伴い、軽量で大容量の電力貯蔵技術の開発も不可欠であり、この電力貯蔵も含めた航空機全体のエネルギーシステムの最適化検討の取り組みも必要である。