NISTEP注目科学技術 - 2023_E166
概要
アンモニアのより温和条件での合成技術。特に工業レベルでの社会実装。
キーワード
アンモニア合成 / 温和条件 / エネルギー
ID | 2023_E166 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 27 (化学工学) |
分析データ クラスタ | 11 (理化学/エネルギー・脱炭素) |
研究段階
研究室での開発は非常に盛り上がっており、候補材料が次から次へと開発されている。企業との共同研究も盛んで、大学発ベンチャーも立ち上がって数年を経たものもあり、ますます期待される段階である。一方で、工業レベルでの実用化、社会実装まではまだハードルがあり、これを越えていくことが期待される。
インパクト
インパクトは極めて高い。工業的にはハーバーボッシュ法によるアンモニア合成が100年以上利用されている。それだけハーバーボッシュ法が優秀とも言えるが、100年以上イノベーションが起きなかった領域とも言える。高温高圧条件が必要なハーバーボッシュ法は、エネルギー消費の大きさ、初期投資の高さ、などの弱点を抱えている。エネルギーの効率的な利用の観点から、より温和な条件、究極には常温常圧条件でのアンモニア合成は夢の技術と言える。プラント建設の初期投資が高くない手法は、いわゆるGlobal South等が発展していく中で、需要の高まりが見込まれる。エネルギー、食糧生産などに広く関わるインフラの一部となることが期待され、化学工業システムのデザインを変える可能性もある。
必要な要素
生産されたアンモニアの利用の仕方のグランドデザインを描くこと。食糧生産(肥料の原料)はもとより、エネルギー資源としての利用についても期待が高まっている。どの分野でどの位使うのか、そのためにどこにプラントを建設するのが良いのか、輸出も考えるのか、等々、国レベルはもちろん、近隣諸国との連携、世界的な潮流作りを日本が先頭に立って行うことが期待される。