NISTEP注目科学技術 - 2020_E225
概要
イベント駆動型イメージセンサーは生体に模倣したイメージセンサーであり、高いダイナミックレンジを有する。従来のフレーム型イメージセンサーと異なり、強度変化が存在した画素のみで、その位置と時間が記録されるため、フレーム型イメージセンサーでは実現できない時間分解能でイメージの取得が可能である。従来の超高速カメラは、最大フレームレートで撮像できるフレーム数が記憶容量やデータ転送上の制限から限られており、膨大なイメージデータを処理することを必要とする問題がある。イベント駆動型イメージセンサーでは、データ容量を大幅に低減することができるため、フレーム数に関する制限が少なくなる。これらのイベント駆動型イメージセンサーは、セキュリティーや自動運転等の分野での利用が期待されており、今後急速に発達していく科学技術の一つとして位置付けられる。原子分子光科学の研究分野においても、イベント駆動型イメージセンサーとして位置付けられる、オックスフォード大学が開発したPImMSカメラやCERNで開発されたTimePixセンサーを用いたカメラを利用した研究例が近年増加している。国内のX線自由電子レーザーを用いた計測においても利用が行われており、従来のフレーム方型イメージセンサーとは質の異なる実験データの取得が可能になりつつある。しかし、これらのイベント駆動型イメージセンサーの本質は、「時間軸でのスパース性」と「強度軸におけるマルチスケール性」である。この2つの性質を十分に活かした計測はまだ実現されておらず、データ量を大幅に増やすことなくマルチスケールの計測を実現するための要素技術の一つとなりうる。例えば、分子科学の分野においては、タンパク質分子内の電子移動から折り畳みまでを統一的に計測するための基盤技術につながる可能性がある。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E225 |
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調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 61 (人間情報学) |
分析データ クラスタ | 37 (電磁波・光学・レーザー・光半導体) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
(1)量子イメージセンサー(1光子が入射することで数1000電子を生成することができる超高感度イメージセンサー)との融合:低照度の条件(1光子検出)における計測を可能とする。(2)センサーの対応波長領域を拡張:軟X線から紫外領域および赤外領域まで拡張することにより、あらゆる時間分解計測においてマルチスケール計測を実現する。(3)時間応答性の向上:サブナノ秒の時間分解能の実現。薬理動態を観測するためのイメージング質量分析装置の高速化が実現可能となる。