NISTEP注目科学技術 - 2023_E157

概要
MPS:MicroPhysiologicalSystem(生体模倣システム)と呼ばれる従来の細胞を静置培養する方法から、ターゲットとするための生体機能を評価するためのシステムを構築する取り組み。狭義にはマイクロ流路等を形成したデバイス上でヒト由来の細胞を用い、流れ刺激など物理的刺激を与えるなど静置系よりも生体に近い機能を出すシステムをいうが、広義には細胞の3D培養、スフェロイド、オルガノイドの利用などにより創薬や臨床、その他食品・化粧品、化学工業一般での機能評価や毒性評価に適用する取り組み
キーワード
生体模倣 / 再生医療 / 創薬(ニューモダリティー)
ID 2023_E157
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 企業
専門分野 ものづくり
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 90 (人間医工学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
ターゲットが広いため様々な取り組みをされており、一部のMPSは市販されており創薬の研究段階での適用も始まっている。しかしながら、生体機能すべてをを完全に模倣することができるシステムはできないと思われ、ユーザニーズにこたえるための様々なシステム開発が必要であり進んでいく。機能の主な部分は細胞(組織)が担うため、細胞開発とシステムの開発を一体で進める必要があり、徐々に高度なシステムが開発されると思われる。
インパクト
創薬に対しては、動物とヒトの種差の問題を克服できるシステムが期待され、まずは動物実験の削減あるいは前臨床開発における効率化が期待される。食品・化粧品、その他一般の化学工業においては現在すでに動物実験を行うことができなくなっており、これに替わる技術が求められている。MPSはそのソリューションとして期待される技術である。
必要な要素
まずは目的に対して必要な機能を出すシステムが必要であり、第一にはその目的が明確であること、その目的に対して必要な機能を出すことができる細胞あるいは細胞を用いた組織構築が最も重要な技術となり、その細胞や組織の機能を発揮するのに必要な環境をシステムにより実現することによってニーズの応えるシステムが完成する。細胞の研究者とシステムの開発者およびそれを用いるユーザの三者が一体となった開発体制の構築が重要であると考える。