NISTEP注目科学技術 - 2020_E189

概要
微生物と電気・電子デバイスの融合による「バイオハイブリッドデバイス」の創出に着目しています.
近年,合成生物学と電気・電子工学の融合研究により,微生物の細胞内反応を,遺伝子組み換え技術やコンピュータ制御されたマイクロ流体デバイス等を用いて精密に制御し,細胞を「デバイス」としてセンシング,アクチュエーション,計算等の工学的な応用につなげる研究が行われています.米国ではDARPAのプロジェクトが2016年頃から開始されており例えば,こちらのリンク https://www.darpa.mil/about-us/control-systems-and-biology のようなプログラムが始動しています.また,そこで得られたデバイスをフィールドアプリケーションに応用するためのプログラム
https://www.darpa.mil/program/biological-robustness-in-complex-settings も開始しています.
このように,生物の化学反応をいかにエンジニアリングするか,という従来の合成生物の枠組みを超えて,生物と人工物の融合システムをエンジニアリングする研究が進むことで,今後「クラウド上のAIと連携する微生物システム」のような生物を材料とする高度なバイオハイブリッドシステムの実現が期待できると考えています.
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID 2020_E189
調査回 2020
注目/兆し 2020
※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度 -
2020年調査にはこの項目はありません。
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 38 (農芸化学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
微生物と人工物(制御用電子回路)の融合例として,近年,光(optogenetics)を利用して細胞内の反応や細胞の成長を制御する等の応用例が論文化されており,生物・人工物の双方においてバイオハイブリッド技術の実現に向けたツールが整ってきたと考えられます.(例: Milias-Argeitis, A., Rullan, M., Aoki, S. et al. Automated optogenetic feedback control for precise and robust regulation of gene expression and cell growth. Nat Commun 7, 12546 (2016). https://doi.org/10.1038/ncomms12546).上記の論文以外にも,遺伝子組み替え・ゲノム編集・制御工学・マイクロ流体デバイスの融合によるバイオハイブリッドシステムの構築研究の論文化が始まっており,成熟したこれらの個別の技術が融合するフェーズに入るものと考えられます.