NISTEP注目科学技術 - 2023_E151
概要
CO2の高効率かつ安価な分離回収技術、DACも含む。発電所等からの固定発生源からの数%以上のCO2はもちろん、400ppmのDACについても高効率、かつ安価なCO2分離回収技術がカーボンニュートラル社会には必須となる。そのための吸着材や分離膜、さらに未利用冷熱などの組み合わせなどの新しいプロセス開発が望まれる。
キーワード
CO2 / 分離膜 / 吸着材 / ゼオライト / 未利用冷熱
ID | 2023_E151 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 64 (環境保全対策) |
分析データ クラスタ | 31 (環境化学) |
研究段階
CO2の分離回収自体は、既存の技術で可能であるが、CCS等を行うためには、経産省のロードマップが示すように1000円/tの処理コストが望まれる。そのようなコストを達成するためには、排熱利用、未利用冷熱利用など、ほとんどエネルギーを使わないプロセスが望まれる。それに対応したような低CO2相対圧で高吸着量を示し、低温で脱着できるような吸着材、あるいは、高透過なCO2分離膜の開発が必要である。
インパクト
2050年には、CO2回収がIEAのレポートでは数Gtとなり、IPCCの報告書では10Gtを越えるシナリオも示されている。これらは主にCCSとなり、ほとんど価値を生まない。その点を考えると、この処理費用はCO2creditや税金で賄う必要があり、そのためにはできるだけコストを下げる必要がある。1000円/tの処理費用となれば、現実的な対応が可能となると考えられ、CCSを積極的に行う企業があらわれ、カーボンニュートラルの実現とともに、新しい産業分野が生まれると考えられる。
必要な要素
CO2吸着、脱着に関して新しい概念に基づいた(低CO2相対圧でも吸着できるが、低温で脱着可能な、温度依存性が極めて高いCO2吸着特性を持つ)吸着材の開発。
CO2選択性、透過性が非常に高い安価な分離膜、目安としては5000円/m2以下で5000GPUを超える透過性能を持ち、量産可能な分離膜。この実現にはポリマー膜、ゼオライト膜単独では難しく、これらの複合膜の開発が必要と思われる。
CO2選択性、透過性が非常に高い安価な分離膜、目安としては5000円/m2以下で5000GPUを超える透過性能を持ち、量産可能な分離膜。この実現にはポリマー膜、ゼオライト膜単独では難しく、これらの複合膜の開発が必要と思われる。