NISTEP注目科学技術 - 2020_E37
概要
量子コンピューティングに関する技術開発
近年「量子コンピュータ」という言葉が,脚光を浴びています。現在提案されている量子コンピュータは,「量子ゲート型」といわれているものと「イジング(アニーリング,量子アニーラ)型」というものに大別できます。量子ゲートは,現在の汎用コンピュータの未来発展型的な位置づけで,IBMやインテル,グーグルなどにより開発が進められており,万能な計算機と考えられていますが,現時点では商用機は存在していません。もちろん各社からクラウド公開されており,無償または有償にて利用することができますが,量子ビットサイズの制限から,実用的な問題を直ちに取り扱うには,多くの時間が必要と考えられます。量子アニーラは,東京工業大学の西森秀稔教授のグループで着想され,2011年にカナダのD-Wave Systems社から商用機が販売され,NASAやLockheedMartinが導入したことから,量子コンピュータが現実のものになったと考えられています。
量子アニーラは,「組合せ最適化問題」を解くことに特化したコンピュータで,従来の汎用コンピュータの苦手とする計算領域のひとつを補完することができます。日本でもNECのグループで開発が進められており,数年後に商用機をリリースすることが予定されています。他では,量子アニーラに着想を得てデジタル回路などで「組合せ最適化問題」に特化した計算機が,各社から提案されています。例えば,日立や富士通は,CMOS デジタル回路にその機能を実装し,NTTとNII のグループは,光パラメトリクス方式でその機能を実現し,東芝は,今春突然この領域に参入してきました。このように,「量子アニーラ」を中心に新しい計算機市場の覇権をかけ,国内の多くの企業が参入を開始しており,非常に暑い市場です。
このようなコンピュータが,具体的に材料科学にどのように役に立つのか,現在では未知数ですが,例えばD-WaveのマシンはTEM-CTの画像構築に適用し,従来より少ない,データを基に3D 画像構築を行っています。また,富士通は,創薬分野への適用(分子構造の類似性検索)などへの適用を報告しており,日立は,画像内のノイズを除去して鮮明な画像の構築に適用しています。しかし,各社ともキラーアプリを模索しているのが現状です。
近年「量子コンピュータ」という言葉が,脚光を浴びています。現在提案されている量子コンピュータは,「量子ゲート型」といわれているものと「イジング(アニーリング,量子アニーラ)型」というものに大別できます。量子ゲートは,現在の汎用コンピュータの未来発展型的な位置づけで,IBMやインテル,グーグルなどにより開発が進められており,万能な計算機と考えられていますが,現時点では商用機は存在していません。もちろん各社からクラウド公開されており,無償または有償にて利用することができますが,量子ビットサイズの制限から,実用的な問題を直ちに取り扱うには,多くの時間が必要と考えられます。量子アニーラは,東京工業大学の西森秀稔教授のグループで着想され,2011年にカナダのD-Wave Systems社から商用機が販売され,NASAやLockheedMartinが導入したことから,量子コンピュータが現実のものになったと考えられています。
量子アニーラは,「組合せ最適化問題」を解くことに特化したコンピュータで,従来の汎用コンピュータの苦手とする計算領域のひとつを補完することができます。日本でもNECのグループで開発が進められており,数年後に商用機をリリースすることが予定されています。他では,量子アニーラに着想を得てデジタル回路などで「組合せ最適化問題」に特化した計算機が,各社から提案されています。例えば,日立や富士通は,CMOS デジタル回路にその機能を実装し,NTTとNII のグループは,光パラメトリクス方式でその機能を実現し,東芝は,今春突然この領域に参入してきました。このように,「量子アニーラ」を中心に新しい計算機市場の覇権をかけ,国内の多くの企業が参入を開始しており,非常に暑い市場です。
このようなコンピュータが,具体的に材料科学にどのように役に立つのか,現在では未知数ですが,例えばD-WaveのマシンはTEM-CTの画像構築に適用し,従来より少ない,データを基に3D 画像構築を行っています。また,富士通は,創薬分野への適用(分子構造の類似性検索)などへの適用を報告しており,日立は,画像内のノイズを除去して鮮明な画像の構築に適用しています。しかし,各社ともキラーアプリを模索しているのが現状です。
キーワード
2020年調査にはこの項目はありません。
ID | 2020_E37 |
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調査回 | 2020 |
注目/兆し |
2020 ※2020年調査にはこの項目はありません。区別のため、便宜上 「2020」 としています。 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | - 2020年調査にはこの項目はありません。 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 60 (情報科学、情報工学) |
分析データ クラスタ | 38 (計算機・電気通信・通信デバイス・量子計算機) |
研究段階
2020年調査にはこの項目はありません。
インパクト
2020年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
今後の「量子コンピュータ」は、量子ゲート型が主流となると考えられる。世界に比べて日本の開発状況は、専門家によると良くて「周回遅れ」、実情は「2~3周回遅れ」といわれている。シリコン型のトランジスタとは異なる産業で、後れを取ることは国際競争力の著しい低下を招くと想定される。新産業の全体の技術構成を進めつつ、本当に必要な基板技術が確立されていくことが望ましい。特に量子コンピュータに用いる【新規の材料開発】にブレークスルーが必要と考える。二次元層状材料である遷移金属ダイカルコゲナイドをはじめとするナノ材料開発と、材料研究を加速するための計測技術の開発に国としても注力をいただきたい。