NISTEP注目科学技術 - 2023_E128
概要
クラウドソーシングによる標本データのデジタル化
キーワード
クラウドソーシング / 手書き情報 / デジタル化 / ビッグデータ / 情報公開
ID | 2023_E128 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 62 (応用情報学) |
分析データ クラスタ | 16 (言語学/言語教育) |
研究段階
博物館の業務は膨大で、それに見合う予算が得られにくい状況が続いている。そのような状況を鑑み、未登録・未デジタル化のまま保管されている標本をクラウド上に展開したシステムとボランティアの手作業を借りてデジタル化することを博物館職員らが着想している。すでにクラウドソーシングのプラットフォームはいくつもあり、その1つを試用している。その結果、より使いやすく、多くのボランティアの参画を得られやすいシステムの構築、そのような取り組みを行なう博物館と潜在的なボランティアの間をつなぐ方法を検討している。
インパクト
標本のデジタル化には、標本に添えられたメタデータが手書きであること雑多であることが障害となっていた。博物館に死蔵されている標本はデジタル化されて公開されてこそ価値が高まる。これまでの研究の蓄積(ビッグデータ)を取りこぼしなく公開することは、社会全体の知の足跡を明確にすることであり、それにもとづく新規的な科学の基盤となる。すなわち、科学基盤はかつてないほど強化される。クラウドソーシングによる取り組みは、ディープラーニングなどの超専門的なシステムを開発するより安価である可能性があり、さらには一般にも科学を公開し科学の担い手を増やすという役割をも果たせる可能性がある。
必要な要素
前提はボランティアで活動に取り組む人材がいることにある。研究者側としては、潜在的なボランティアを掘り起こす努力が必要である。社会に対しては、科学の一般知識を維持、あるいは高めることを期待する。余暇の過ごし方の一つに科学があると思えるような文化を醸成することも一策だろう。また、誰もが学ぶ義務教育課程において、科学やその証拠となる標本の重要性を教えることなどが必要だと考えている。