NISTEP注目科学技術 - 2022_E330

概要
2分子界面を利用した超低駆動有機EL
従来は正孔と電子の輸送材料、発光材料をそれぞれ専門的に選択し、最適化してきた。本技術は発光するときに2分子間でのエネルギー移動を利用することで大幅な駆動電圧の低下を実現している。
キーワード
有機EL / アップコンバージョン / 電荷移動錯体 / 2分子界面 / 三重項三重項消滅 / 超低電圧駆動
ID 2022_E330
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 32 (物理化学、機能物性化学)
分析データ クラスタ 27 (理化学/半導体・ナノ・材料)
研究段階
従来スマホディスプレイ相当の明るさを実現するためには3.5V程度が必要であったが、本技術では1.5Vすなわち乾電池1本で実現できている。これは電圧低下という利点だけでなく、消費電力低下や長い駆動寿命といった利点も生じる。昨今はTVやスマホだけでなく、照明などにも有機ELが採用されてきており低電力化は経済・産業界として大きな訴求にあたる。
論文ベースでは赤色発光が実現しているが、その他の色が未達であるため、今後の展開に期待。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
有機EL関連は国内大学の研究レベルは世界的にも高い傾向にあるが、民間企業はほとんどが撤退しておりシーズを実現できる会社がない。多くの研究室は他国企業(韓国サムスン、LGなど)と連携することで存続しているが、それも中国企業へ置き換わっている。しかし、政治情勢の影響を受け、中国企業との連携が非常に困難になっていることから、当該研究分野は先細りが心配されている。
研究開発を政治理由により妨げる事の無いよう、調整いただきたい。