NISTEP注目科学技術 - 2022_E284

概要
フィジカルインターネット:フィジカルインターネットとは、トラック等が持つ輸送スペースと倉庫が持つ保管・仕分スペースのシェアリングによってそれら物流リソースの稼働率を向上させ、より少ない台数のトラックで荷物を運ぶことで燃料消費量を抑制し地球温暖化ガス排出量を削減することを通じて、持続可能な社会を実現するための革新的な物流システムのコンセプトです。
「インターネット」のパケット交換の仕組みを物流に適用して、「フィジカル」なモノの輸送・仕分・保管を変革することから、フィジカルインターネットと呼ばれています。
キーワード
交通システム / ロジスティックス / ソサエティ5. / サプライチェインマネジメント / オペレーションズマネジメント / デジタルトランスフォーメーション
ID 2022_E284
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 企業
専門分野 ものづくり
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 25 (社会システム工学、安全工学、防災工学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
要素技術研究はほぼ終了している。
社会システムとして、荷主産業・物流産業間、異業種の荷主産業間での容器サイズや通信プロトコル、メッセージセマンティックス、共通APIなどの開発や、計画市場のプラットフォーマーの台頭などが、今後10年から20年で期待される。
経済産業省商務情報政策局で、ロードマップが2021年度作成された他、2020年代の総合物流施策大綱にも記載された。
単に、輸送だけではなく、物流・ロジスティックス、サプライチェインマネジメント、商取引の再設計など、ソサエティ5.0の流通・物流領域での社会システムとしてのイノベーションの中心的概念である。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
経済産業省の「フィジカルインターネット実現推進会議報告書」に詳しいが、概ね下記。
①要素技術:極めて多数の荷主や物流事業者、輸送事業者などから構成される流通・物流業務プロセス群を、システムとして一体的に捉え、計画市場やスポット市場などの複雑できめ細かな調整業務を行う、いわば物流市場における“デリバティブ市場”を設計し、機能させること。このためには、参加プレイヤーの計画系AIとプラットフォームが提供するマシン2マシンの高速のコーディネーションメカニズムの設計が必要となる。
②社会的要素:輸送容器の形状の複数パターンでの標準化、企業間コミュニケーションプロトコル(メッセージフォーマット、API、事業書コード等)の標準化が必要