NISTEP注目科学技術 - 2023_E111
概要
毛髪の質量分析イメージングです。従来技術では、毛髪のサンプル切片を作成するのは非常に難しく、また凍結切片法を用いると水溶性成分の流出が課題となっていました。しかし福島大学の平らが開発した新技術では、サンプルを輪切りではなく縦方向にスライスすることが可能です。また、ナノ粒子をマトリックスとして使用しているNanoPALDI法と組み合わせることで、高精細で高精度なイメージングが可能となりました。この技術を用いることで、毛髪縦断面から生体内の情報を得ることができます。また毛髪には日々の記録が残されるため、時間軸に沿った生体情報を得ることが可能になります。
加えて、従来行われている血液などの生体組織を採取しての検査に比べ、毛髪は侵襲度が低いことがメリットと考えられます。
加えて、従来行われている血液などの生体組織を採取しての検査に比べ、毛髪は侵襲度が低いことがメリットと考えられます。
キーワード
毛髪質量イメージング / NanoPALDI / 生体内物質
ID | 2023_E111 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ものづくり |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 58 (社会医学、看護学) |
分析データ クラスタ | 6 (分子生物学/診断・治療) |
研究段階
毛髪質量分析イメージングは、その分析技術が確立しております。応用の方向として、脳神経疾患のバイオマーカー検出、新規バイオマーカー探索に取り組んでいます。
インパクト
脳神経疾患やその他病気の診断が毛髪から可能になった場合、健康診断で毛髪を採取することで、その診断が可能となります。従来行われている血液検査や尿検査に比べ、被験者に対し侵襲度が低いことと、採取した検体の取り扱いが容易になることが期待できます。また、毛髪は時間情報も得られることから、いつから疾患が始まったかをトレースすることが可能になります。最終的には、疾患前の未病状態に発生する物質をバイオマーカーにすることで、病気を未然に防ぐことを期待します。
必要な要素
イメージング質量分析は、装置が高額であることと、特別な技術を持った者しか扱えない、研究用技術と思われている現状にある。(現に、JST A stepでは審査員からそう言われた)
決してそうではなく、この毛髪技術を用いることで、社会実装性を備えた誰にでも扱えるものであると考えます。そのためには、今まで以上にイメージング質量分析の周知が必要です。
決してそうではなく、この毛髪技術を用いることで、社会実装性を備えた誰にでも扱えるものであると考えます。そのためには、今まで以上にイメージング質量分析の周知が必要です。