NISTEP注目科学技術 - 2022_E257

概要
・機械学習を用いたインフラの効率的な維持管理システムの社会実装
・IoTを搭載した大型車によるインフラの常時モニタリング
わが国ではインフラの老齢化が進行しており,劣化した構造物を効率よく検査,点検,修繕していくシステムを構築することは喫緊の課題と考えられる.橋梁やトンネルでは多額のコストをかけて点検を行っているが,現状ではそれらをアナログな調書の形式で管理しているケースが多く,ビックデータとして有用に活用できていない.これらのデータを機械学習やスマートグラス等のウェアラブル端末と組み合わせることで強力な支援ツールになると考えられる.一旦システムが構築されれば,援用期間が長くなるほど診断の精度が向上するため,諸外国に市場を独占される前に開発することが望まれる.また,橋梁では大型車の通過に起因する疲労損傷が顕在化している.一方で,ドライブレコーダーの動画像やカーナビの位置情報など,垂れ流しにして破棄している有用なデータは非常に多い.社会的コンセンサスが必要となるが,大型車から取得できる仕組みができれば地方のインフラであっても都市内高速と同様なレベルでモニタリングが可能になると考えられる.
キーワード
インフラ / 維持管理 / モニタリング / IoT / AI / 深層学習
ID 2022_E257
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 社会基盤
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 22 (土木工学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
インフラの非破壊検査手法や,劣化・損傷が生じた場合の残存性能の評価手法や,損傷の程度に応じた恒久的・応急的な補修技術など,それぞれ個別の研究は充実しつつある.しかし,点検結果や,前回点検からの損傷の進展の程度,どの程度の損傷に対してどのような補修を行ったかといった統計的なデータベースはない.これらのデータベースが構築されれば,補修方法の選定等の支援となるため,非常に有用と考えられる.
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
機械学習によるインフラの劣化・損傷の判別システムの構築にあたっては,教師データとなるサンプルの作成,画像解析およびソフトウェアの開発が必要となるため,土木系の研究者とITエンジニアとの協力が必要不可欠となる.また,IoTを搭載した大型車によるインフラの常時モニタリングでは,動画像やGPS等の個人情報を使用するため,プライバシー保護の観点から社会的コンセンサスが必要となる.