NISTEP注目科学技術 - 2022_E231

概要
【1細胞レベルの空間プロテオミクス技術】
1細胞オミクスの主な分析対象は遺伝子とその転写産物であり、タンパク質を対象とした1細胞プロテオミクス研究は大きく出遅れている。これは、タンパク質が核酸のように増幅できないことが大きな原因である。そのため、1細胞から得られた極微量のタンパク質を損失することなく分析できる高回収率な前処理技術が1細胞プロテオミクスには求められる。また、細胞個々の特徴を捉えるには、1つの細胞だけを観察するのではなく、複数の1細胞を比較する必要がある。世界的にいくつかの1細胞プロテオミクス技術が既に報告されているが、回収率、汎用性、スループット性のいずれかの点に課題が残されていた。しかし近年、3点を全て満たした1細胞プロテオミクス技術として、『油中液滴法(Water-in-oil digestion, WinO)』を用いた1細胞プロテオミクス技術が開発された。さらにこの技術を発展させることで、1細胞レベルの空間プロテオミクス技術の開発が現在進んでおり、次世代分析技術として注目を集めている。
キーワード
油中液滴法 / 1細胞プロテオミクス / 空間プロテオミクス
ID 2022_E231
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 団体
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
油中液滴法については特許が成立しており、熊本大学大学院生命科学研究部の研究室で更なる技術開発が進められている。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
技術的にはかなり習熟している。技術利用に基づく成功事例(疾患関連分子を同定したなど)と、研究に対する支援体制が必要と考える。