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NISTEP注目科学技術 - 2022_E195

「デジタルトランスフォーメーション時代の交通・輸送システム　～ MaaS ～」

IoTやクラウド（あるいは，ブロックチェーンなども）などのデジタル技術とAIを活用して，人流や物流を円滑化・効率化・最適化するとともに，持続可能性を向上させる．平常時における，新しいビジネスモデルや交通・輸送マネジメントの手段として活用できるだけでなく，災害時の交通・輸送ネットワークの確保においても有効に機能することが望まれる．また，自動運転車や空飛ぶクルマなどの新しい交通手段も，移動・輸送の選択肢の一つとして，システムに包含される．

　人流に焦点を当てたシステム，平常時のビジネスモデルとしてのシステムは，世界的に見て，行政主導もしくはIT企業主導で構築されつつある．
　ただし，「実現に向けて必要な要素」で記したような，包括的なシステムはまだ無い．また，持続可能な都市形成や災害時の強靭性に焦点を当てたシステムも，まだ見られない．

・交通や輸送に限定しない包括的なシステム形成が有用である．すなわち，人流の場合は，移動だけに限定せず，人のアクティビティ全体（生活やレジャーなど）を包含すること，物流の場合は，輸送だけに限定せず，生産や保管などのサプライチェーン機能全般を包含することが望まれる．
・様々な移動・輸送手段，アクティビティ，サプライチェーン機能が包含されるため，それらが透過的にシステムに含まれるように，汎用性や普及性の高いデジタル技術やAIの開発・適用が望まれる．
・個々人や個々の企業の時々刻々の高精度な最適解が，大規模計算を通じて求解される必要があるので，高精度で高速の大規模最適化計算技術（ハード面だけでなく，アルゴリズムのソフト面でも）の開発・適用が望まれる．
・自動運転車や空飛ぶクルマも，持続可能な交通・輸送システム形成に包含されることから，新しい交通・輸送手段の開発も必要である．