NISTEP注目科学技術 - 2022_E167

概要
脳神経回路は神経細胞自身の新生能力の低さからいったん完成されると大規模な改編は難しいとされてきたが、神経・四肢・感覚損傷や、長期間にわたる特殊な訓練を経験するような状況下においては比較的大規模な神経回路改編が生じることも分かっている。正常状態における幼若期の「柔らかい」神経回路から成熟期の「固い」神経回路に移行する際にどのような変化が生じているのか、また、病的・特殊条件下で成熟後の神経回路が変化する場合には何が起こっているのか、を機能・分子の両面から明らかにすることによって、操作的手法による神経回路の改編への手がかりをつかむことが可能であると考える。
神経回路の編成に対して操作的に介入することが可能になれば、数々の精神疾患や神経損傷による感覚・運動能力喪失後のリハビリなどに対して絶大な貢献をもたらすことが期待できる。
キーワード
神経生理 / 分子生理 / 神経回路再編
ID 2022_E167
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 46 (神経科学)
分析データ クラスタ 61 (脳神経科学)
研究段階
分子的手法の発展により、関連分子が次々と明らかになっている。また、光遺伝学・コネクトノームによって脳内の複雑な配線様式も分かってきている。今後両者を架橋するために、少数のサンプルから高精度で情報を取得可能な電気生理と網羅的機能解析に適したイメージング技術の融合が重要な段階になっている。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
ハイスループットな操作的・測定法ためのさらなる技術進展と、ヒトに対して技術応用するための倫理規定の制定が必要となってくると考えられる。